テニススクールに通い始めた初日、私は大きな戸惑いに襲われました。コーチがさらっと放った「はい、今のポイントでフィフティーン・ラブです」という言葉。1点取ったはずなのに、なぜ15点なのか?そして「ラブ」って愛のこと?
私と同じように、この独特すぎるカウント方式に違和感を覚える方は多いはずです。実はこの数字、適当に決まったわけではなく、中世から続く深い歴史と「合理的な理由」が隠されていました。
初心者がまず直面する「スコアの違和感」と私の体験
私が初めてテニスの試合形式の練習に出たとき、頭の中はパニックでした。自分の得点が重なるごとに「15(フィフティーン)」「30(サーティー)」「40(フォーティー)」と増えていくのですが、他競技のように「1点、2点」と言えないもどかしさがあります。
特に困ったのが、相手が強いボールを打ち込んできて焦っている時のセルフジャッジです。「ええと、今は1点取ったから15…次は30だっけ?」と計算している間に、次のサーブが飛んできます。テニスラケットを握りしめながら、点数を数えるだけで脳のメモリがいっぱいになってしまうのは、テニス初心者あるあると言えるでしょう。
なぜ15刻みなの?最も有力な「時計の文字盤」説
この謎を解く鍵は、意外にも「時計」にありました。
テニスの原型となったのは、中世フランスの「ジュ・ド・ポーム」という遊びです。当時は得点掲示板などありませんから、コートの脇にある大きな時計の針を動かしてスコアを表示していたという説が最も有力です。
1ゲームを時計の1周(60分)に見立て、4回ポイントを取れば勝ち。
- 1ポイント目: 15分(15点)
- 2ポイント目: 30分(30点)
- 3ポイント目: 45分(45点)
- 4ポイント目: 60分(ゲームセット!)
非常にシンプルで分かりやすい仕組みですよね。当時の人々にとって、時計の針を動かすのが一番手っ取り早い記録方法だったのです。
なぜ「45」ではなく「40」になったのか?
ここで鋭い方は「じゃあ、なんで今は45じゃなくて40なの?」と疑問に思うでしょう。実は、これには「審判の言いやすさ」という極めて人間味あふれる理由があります。
実際に声に出してみるとわかりますが、英語の「Forty-five(フォーティーファイブ)」は3音節で少し長いです。それに対して「Forty(フォーティー)」は2音節で短く、コールがしやすい。長い歴史の中で、審判たちが「いちいち45って言うの面倒だな」と省略して呼ぶようになったのが定着したと言われています。
私が実際にテニス 審判台を借りてスコアを読み上げた際も、試合のテンポが速くなるにつれて「フォーティー」の短さがリズムを崩さない大きな助けになると実感しました。
0点を「ラブ」と呼ぶ、愛着の湧く勘違い
そして、もう一つの大きな謎が「0点=Love(ラブ)」です。
「負けていても愛がある」なんていうロマンチックな説もありますが、現実的な有力説はフランス語の「卵(l’oeuf:ルーフ)」です。
0の形が卵に似ていることから、フランスでは0を卵と呼んでいました。それがイギリスに伝わった際、「ルーフ」という発音が英語の「ラブ」に聞こえてしまったという、壮大な聞き間違いが定着の理由だと言われています。
歴史を知ると、テニスはもっと面白くなる
テニスのスコアを覚えるのは最初は大変ですが、その背景に「時計の針を動かすワクワク感」や「審判のちょっとした手抜き」があったと知ると、なんだか親近感が湧いてきませんか?
これからテニスを始める方は、ぜひテニスシューズを履いてコートに立つ際、「今は時計の針が30分まで進んだぞ」とイメージしてみてください。それだけで、あのややこしい数字がスッと頭に入ってくるはずです。
独特な文化をまるごと楽しむこと。それが、テニスというスポーツを長く愛し続ける秘訣かもしれません。
この記事の続きとして、実際の試合で使えるスコアの数え方ガイドや、セルフジャッジのコツについてもお話しできますが、いかがでしょうか?


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