テニスのラケット選びで、一度は憧れるのが「95インチ」というスペックではないでしょうか。
ショップの棚に並ぶ黄金スペック(100インチ)に比べると、一回り小ぶりで引き締まったフェイス。手に取った瞬間に感じる「これぞ競技者の道具」という独特の緊張感。しかし、ネットの評判を見れば「難しい」「飛ばない」「上級者以外お断り」といった言葉が並び、二の足を踏んでしまう方も多いはずです。
私は長年100インチのラケットを愛用してきましたが、1年前に意を決して95インチへと完全に移行しました。その結果、見えてきたのは「単なる難しさ」ではなく、現代のテニスにこそ必要な「コントロールの快感」でした。
今回は、実際に使い込んで分かったリアルな体験談をもとに、95インチラケットの真実を語り尽くします。
100インチから95インチに変えて、私に起きた「3つの変化」
よく言われる「スイートスポットの狭さ」については、確かに否定できません。しかし、それ以上に得られる恩恵が、私のプレーを劇的に変えてくれました。
振り抜きが良すぎて「スイングスピード」が勝手に上がる
まず驚いたのは、空気抵抗の少なさです。5インチの差は、数字以上に大きく感じます。特にサーブやスマッシュなど、縦に振る動作でのヘッドの走り方が別次元です。「シュッ」という風切り音とともに、自分の意図した以上に速くラケットが振り抜けるため、結果としてボールの威力が増しました。
「どこに当たったか」が指先にまで伝わる
黄金スペックのラケットは、多少芯を外してもフレームが助けてくれます。しかし、95インチは嘘をつきません。芯を食った時の「ボールを潰す感覚」と、外した時の「あ、今のは数ミリズレた」というフィードバックが非常に明確です。この情報量の多さが、結果として自分のフォームを見直すきっかけになり、ミート率の向上につながりました。
アウトの恐怖が消え、全力で振れるようになった
「飛ばない」ということは、裏を返せば「オーバーアウトしにくい」ということです。100インチを使っていた頃は、チャンスボールでつい置きにいってしまい、中途半端なボールを叩かれることがありました。95インチにしてからは、思い切り振ってもコート内に収まるという安心感があるため、自信を持って攻撃的なショットを選択できるようになりました。
【体験比較】今選ぶべき95インチのおすすめモデル
最新テクノロジーを搭載した現代の95インチは、昔の「板」のような硬さはありません。私が試打を重ね、実際に使用した中で特におすすめしたい3本を紹介します。
圧倒的なスピン性能と操作性:ヨネックス VCORE 95
現在、私がメインで使用しているのがこのモデルです。ヨネックス独自の「アイソメトリック」形状のおかげで、95インチとは思えないほどの安心感があります。
- 体験談: 特にエッグボールの落ち具合が凄まじいです。「あ、アウトかな?」と思ったボールが、ベースライン際で急激に沈みます。95インチの振り抜きやすさと、スピン性能が最高レベルで融合していると感じます。
究極のホールド感とコントロール:ダンロップ CX 200 TOUR
「これぞ薄ラケ」というしなりと、柔らかい打球感が特徴です。ボックス形状らしい、クラシックな操作性を求める方に最適です。
- 体験談: ボレーのタッチが格段に良くなりました。ボールが面に一瞬吸い付くような感覚があるため、ドロップショットやアングルショットの繊細なコントロールが面白いくらい決まります。パワーに自信がある人が、自力で飛ばす楽しさを味わえる一本です。
伝統の操作性を現代的にアレンジ:ウィルソン プロスタッフ 97
※厳密には97インチですが、95インチを検討している層が必ず比較する名器です。
- 体験談: 重量はありますが、バランス設計が秀逸で数値ほどの重さを感じません。芯を食った時のパワーと重い球質は、やはりプロスタッフならでは。伝統の打感は維持しつつ、現行モデルは適度なパワーアシストも感じられる絶妙なバランスです。
95インチで後悔しないための「セッティング」のコツ
「やっぱり自分には難しかった」と諦めてしまう人の多くは、ラケットそのものではなく、ガットのセッティングに原因があります。
私が実践して効果的だったのは、**「ガットのテンションを3〜5ポンド下げる」**ことです。
95インチはもともと飛びが控えめなので、100インチと同じ強さで張ってしまうと、余計にパワー不足を感じてしまいます。少し緩めに張ることで、スイートスポットが擬似的に広がり、95インチ特有の「しなり」や「食いつき」をより引き出すことができます。
また、ポリツアープロのような、マイルドな打球感のポリエステルガットを組み合わせるのも、肘への負担を減らしつつコントロールを維持する良い方法です。
まとめ:95インチは、あなたのテニスを「本気」にさせる
95インチのラケットは、決して楽な道具ではありません。試合の後半、体力が削られた時には100インチの寛容さが恋しくなることもあります。
しかし、自分のスイングを磨き、ボールを操る楽しさを追求したいのであれば、これほど応えてくれるパートナーはいません。ミスショットをラケットのせいにできなくなる分、あなたの技術は確実に向上します。
もしあなたが「今のラケット、飛びすぎてコントロールが難しいな」と感じているなら、ぜひ一度、95インチの世界を覗いてみてください。その鋭い振り抜きと、芯で捉えた時の恍惚感は、一度味わうともう戻れません。


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