テニスコートに立つとき、私たちが最も神経を使うのはラケットの「重さ」や「バランス」かもしれません。しかし、数時間の激しいラリーを戦い抜く中で、実はパフォーマンスを最も左右するのは、手のひらとラケットの唯一の接点である「布」、つまりグリップテープの質感です。
私自身、長年テニスを続ける中で「今日はなぜかボレーが安定しない」「サーブでラケットが遊んでしまう」という悩みに直面してきました。その原因の多くは、ラケットそのものではなく、使い古して弾力や吸水性を失ったグリップの「布」にありました。今回は、実体験に基づいた、プレーの質を劇的に変えるテニス用グリップ(布)の選び方と活用法をお伝えします。
なぜ「布」一つでショットの再現性が変わるのか
テニスは繊細なスポーツです。ほんの数ミリの面ブレが、アウトかインかの境界線になります。使い込んだグリップは表面が摩耗し、指先へのフィードバックが鈍くなります。
特に夏場のハードな練習中、手汗でラケットが滑りそうになった経験はありませんか? 無意識に「滑らせないように」とグリップを強く握りすぎてしまい、結果として手首の柔軟性が失われ、ショットが硬くなってしまう。これこそが、テニスにおける「布」の重要性に気づくべき瞬間です。
私が愛用している ヨネックス ウェットスーパーグリップ は、巻いた瞬間のしっとりとした吸い付きが格別です。この「布」一枚を新しくするだけで、余計な握力が抜け、リラックスしたスイングが取り戻せるのです。
実体験でわかった「ウェット派」vs「ドライ派」の真実
テニス用の布(グリップ)には大きく分けて2つのタイプがありますが、これらは「好み」以上に「その時のコンディション」で選ぶべきです。
1. 吸い付くような一体感の「ウェットタイプ」
多くのプレーヤーに支持されるのがこのタイプです。吸い付くような触感が特徴で、軽い力でもラケットをしっかり保持できます。
- 体験談: 湿度の高い日本の気候では、このタイプが最も安心感を与えてくれます。ただし、雨の日の試合で一度濡れてしまうと、逆にヌルヌルして使い物にならなくなるという弱点もあります。
2. 汗をかくほど真価を発揮する「ドライタイプ」
プロ選手、特にハードワーカーに愛用者が多いのが、さらさらした質感の トーナグリップ に代表されるドライタイプです。
- 体験談: 以前、真夏のトーナメントで手が汗で水没するような状態になった際、ウェットタイプからこのドライタイプに切り替えました。驚いたのは、濡れれば濡れるほど、布が水分を吸って手に馴染む感覚に変わったことです。「滑るかも」という不安が消えた瞬間、サーブの振り抜きが見違えるほど良くなりました。
メンテナンスという名の「勝負へのこだわり」
「まだ破れていないから」という理由で、数ヶ月も同じグリップを使い続けてはいませんか?
実は、テニスの上手い人ほど「布」の鮮度にこだわります。彼らにとってグリップ交換は、単なる手入れではなく、自分の感覚をリセットするための儀式のようなものです。
私も試合の前日には、必ず新しい ウィルソン プロオーバーグリップ に巻き替えるようにしています。新しい布の弾力は衝撃吸収性も高く、肘や手首への負担を軽減してくれる実利もあります。
また、ラケット本体だけでなく、コートでの休憩中に使う「布」——つまりタオル選びも重要です。一般的な家庭用タオルよりも、アディダス スポーツタオル のような吸水速乾に優れたものを選ぶことで、インターバル中の不快な汗を瞬時に取り除き、集中力を途切れさせない工夫ができます。
まとめ:あなたの右腕を支える「究極の布」を見つけよう
テニスにおける「布」は、消耗品でありながら、最も安価に、かつ劇的にプレー環境を改善できるツールです。
- 繊細なタッチを求めるなら: ウェットタイプで吸い付く感触を。
- 汗による滑りを極限まで抑えるなら: ドライタイプでさらさらな安心感を。
まずは、いつもより少し早めにグリップを交換してみてください。その瞬間、手のひらに伝わる情報の鮮明さに驚くはずです。道具との一体感が高まれば、あなたのテニスはもっと自由に、もっと楽しく進化していきます。


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