テニスのストリング(ガット)選びで、誰もが一度は通るのが「48ポンド」という数字です。かつては50〜55ポンドが主流でしたが、ラケットの高性能化やポリエステルガットの普及により、今や48ポンドはプロからアマチュアまでが認める「現代の標準値」となりました。
実際に私が数々のテンションを試し、最終的に48ポンドに落ち着いた経験をもとに、そのリアルな打球感とメリット・デメリットを徹底解説します。
なぜ「48ポンド」が選ばれるのか?実体験からくる3つの理由
私が45ポンドから55ポンドまで幅広く試した中で、48ポンドに感じた最大の魅力は「情報のバランス」です。
1. 「掴んで飛ばす」ホールド感の心地よさ
50ポンドを超えると、インパクトの瞬間にガットが硬い板のように感じ、ボールを弾き飛ばす感覚が強くなります。逆に45ポンド以下だと、ボールが食い込みすぎて「いつ離れるか分からない」不安がありました。
48ポンドでルキシロン アルパワーを張った際、インパクトで一瞬ボールを「グニュッ」と掴み、そこから狙った方向へ正確に射出される感覚を得られました。このコンマ数秒のホールド感が、安心感に繋がります。
2. 肘や手首への優しさと反発力の両立
週3回プレーする中で、高テンションによる「振動」は蓄積疲労の原因になります。48ポンドは、ポリエステルガット特有の衝撃を適度にいなしてくれます。バボラ RPMブラストのような硬めのガットでも、48ポンドなら不快な振動が抑えられ、スイングのエネルギーが効率よくボールに伝わる実感があります。
3. スピン性能を引き出す「スナップバック」
現代テニスに欠かせないスピンは、ガットがズレて戻る「スナップバック」によって生まれます。48ポンドはこの動きが非常にスムーズです。少し緩めに感じるこの設定こそが、ストリングの可動域を確保し、ベースライン際で急降下するエッグボールを可能にしてくれます。
体験比較:48ポンド vs 他のテンション
実際に同じラケットウィルソン ウルトラ 100を使用して比較した際のフィーリングの違いです。
- 52ポンドの場合: 打球音が「パチッ」と高く、フラット系のショットは打ちやすいものの、オフセンター(芯を外した時)の失速が顕著。後半、腕が疲れてくるとボールが浅くなりやすい。
- 44ポンドの場合: 驚くほど飛びますが、ボレーの繊細なタッチが難しく、浮いてしまう場面が増えました。
- 48ポンドの場合: 守備時にはガットのたわみが助けてくれ、攻撃時にはしっかり振ればコート内に収まる。まさに「攻守のバランス」が取れた数値です。
48ポンドが向いている人・向かない人
向いている人
- 「最近、ボールが飛ばなくなった」と感じる人: 筋力低下ではなく、機材の進化に対してテンションが高すぎる可能性があります。
- ポリエステルガットを初めて使う人: 硬いポリでも48ポンドなら、ナイロンからの移行がスムーズです。
- スピン量で勝負したい人: ガットの動きを最大限に活かせます。
向かない人
- 超高速スイングのハードヒッター: ボールを潰す力が強すぎると、48ポンドでは「打ち応え」が物足りず、制御不能に感じる場合があります。
- フラット主体で叩き込みたい人: 50ポンド以上のパリッとした打球感の方が、直線的な弾道をコントロールしやすいでしょう。
迷ったら「48」から始めるのが正解
テニスのコンディションは、気温や湿度にも左右されます。冬場はガットが硬くなるため、夏に50ポンドで張っている人は48ポンドに下げるのがセオリーです。
もしあなたが今、自分の適正テンションに迷っているなら、まずは一度ヨネックス ポリツアープロのような標準的なガットを48ポンドで張ってみてください。そこを基準点(ゼロ地点)にすることで、「もう少し飛ばしたいなら46」「もう少し抑えたいなら50」という、自分だけの正解が見つかるはずです。
テニスは「道具との対話」が楽しいスポーツです。48ポンドという魔法の数字が、あなたのテニスを一段上のステージへ引き上げてくれるかもしれません。


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