テニスの試合、特に審判のいない草トーナメントやサークル内のマッチで一番神経を使うのは、技術よりも「セルフジャッジ」ではないでしょうか。
「今の、絶対入ってたよね?」
「いや、サイドラインを完全に割ってたよ」
そんな不穏な空気で試合の楽しさが半減した経験は、テニスプレイヤーなら誰しも一度はあるはずです。私も先日、大事なポイントで判定が覆り、メンタルが崩壊して逆転負けを喫しました。その悔しさをバネに導入したのが、テニス界のVARことSwingVisionです。
今回は、実際にコートで最新テクノロジーを使い倒してみた体験をもとに、テニスにおけるビデオ判定のリアルをお届けします。
なぜ今、テニスにVARが必要なのか?
プロの世界では「ホークアイ」や、より広範囲な判定をカバーする「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」の導入が当たり前になりました。しかし、私たちが日常的にプレーする環境では、いまだに「肉眼」という曖昧なものに頼っています。
時速150kmを超えるボールがライン際に突き刺さった時、動いているプレイヤーがそれを正確に見極めるのは物理的に困難です。そこに悪意がなくても、視覚的な錯覚や「入っていてほしい」という願望が判定を狂わせます。
【実録】SwingVisionをコートで使ってみた
私が用意したのは、iPhoneと、フェンスに固定するための専用三脚、そしてApple Watchです。
1. 設置はわずか1分
コート後ろのフェンスにiPhoneをセットし、アプリを起動してコートの四隅を認識させるだけ。驚くほど簡単です。これだけで、AIがリアルタイムでボールの軌道を追い始めます。
2. 「判定の証拠」が手元に残る快感
試合中、微妙な判定があった際、手元のApple Watchをタップするだけで、直前のプレーをスロー再生で確認できます。
「アウトだと思ったけど、ラインを1mm噛んでた!」
客観的なデータがそこにあると、不思議と対戦相手とも「あ、本当だ、ごめん!」と笑顔で握手できるから不思議です。
3. 上達スピードが劇的に上がる副作用
VARとしての機能だけでなく、全ショットのスピードやスピン量、コートのどこにボールが落ちたかのヒートマップまで作成されます。自分の弱点が可視化されるため、練習の質が劇的に変わりました。
導入して分かった、意外なハードル
もちろん、良いことばかりではありません。実際に使ってみて感じた「注意点」も共有します。
- バッテリー消費の激しさ: 高精度な解析を続けるため、iPhoneの充電は驚くほど早く減ります。モバイルバッテリーは必須です。
- 相手への配慮: 撮影されることを嫌がる方もいます。「自分のフォームチェックに使ってもいいですか?」と、判定ツールとしてよりも練習用として許可を取るのがマナーとしてスムーズでした。
- 設置の高さ: 低い位置だと判定精度が落ちます。フェンスの高い位置に固定できる自撮り棒や専用マウントが必要です。
テクノロジーが変えるテニスの未来
かつて、テニスの判定で揉めるのは「勝負のあや」として片付けられてきました。しかし、iPhone一台でプロさながらのVAR環境が手に入る今、そんなストレスを抱え続ける必要はありません。
正確なジャッジは、お互いへのリスペクトを生みます。
あなたも次の週末、iPadやスマートフォンをバッグに忍ばせて、テクノロジーの力を借りた「スッキリしたテニス」を体験してみませんか?


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