「あんなに練習したのに、今日も試合でボロ負けだった」「スクールで自分だけが昇級できず、周りの視線が痛い」。そんな思いを抱え、重いラケットバッグを背負って帰路につく夜はありませんか。テニスは技術習得のハードルが非常に高く、実は「最も挫折しやすいスポーツ」の一つと言われています。しかし、今あなたが感じている「辞めたい」という痛みは、それだけ真剣にボールを追いかけてきた証でもあります。
なぜテニスで挫折を感じるのか?私たちの心を折る正体
テニスで挫折を感じる理由は、単に「下手だから」だけではありません。多くの場合、以下の3つの心理的要因が複雑に絡み合っています。
- 成長のプラトー(停滞期)への直面初心者の頃は目に見えて上達しますが、ある一定のレベル(中級の壁など)に達すると、練習量に対して成果が全く比例しなくなる時期が必ず訪れます。
- 「比較」という名の猛毒スクールで後から入ってきた若者に抜かれたり、SNSで華麗なラリー動画を見たりすることで、自分の現在地を否定してしまうケースです。
- 理想と現実のギャッププロの試合を観て「あんな風に打ちたい」とイメージを膨らませるほど、現実にミスを連発する自分の姿に耐えられなくなります。
【体験談】コートを去ろうとしたプレーヤーたちの記録
ここで、実際に挫折を経験した方々のリアルな声に耳を傾けてみましょう。
ケースA:万年初級クラスから抜け出せなかった40代男性
「スクールの振替制度を利用して別のクラスに行った時、あまりのレベル差に手も足も出ず、ペアを組んだ方に露骨に溜息をつかれました。その瞬間、糸が切れたようにやる気が失せ、1ヶ月間ラケットを握ることすらできませんでした。テニスバッグを見るだけで動悸がするほどでしたね。」
ケースB:勝利至上主義に疲弊した20代女性
「部活から社会人サークルまで、とにかく『勝つこと』が正義だと思っていました。でも、週末の大会で負けるたびに自分を責め、月曜日の仕事に支障が出るほど落ち込むように。テニスが趣味ではなく、自分を苦しめる『義務』になっていたんです。」
挫折しそうな時に試してほしい「心の処方箋」
もし今、あなたがラケットを売ってしまおうかと考えているなら、最後にこれらを試してみてください。
1. 「上達」を目標から完全に外す
一度、テニスを「スポーツ」ではなく「レクリエーション」と割り切ってみましょう。フォームが崩れていても、ミスをしてもいい。「1時間動いて汗をかいたから、今日のビールは美味い」という健康維持のレベルまでハードルを下げることで、心の平穏を取り戻せます。
2. 道具の力を借りてワクワクを取り戻す
メンタルが限界なら、物理的な刺激を与えるのも一つの手です。新しいラケットを手にするだけで、コートへ行く足取りが軽くなることがあります。
例えば、テニスラケットを新調して打球感を変えてみたり、テニスシューズを最新モデルにするだけで、自分のフットワークが少しだけ軽くなったような錯覚(良い意味での思い込み)を楽しめます。また、ガットを柔らかいものに変えるだけでも、肘や肩への負担が減り、打つことへの恐怖心が和らぐでしょう。
3. 「自分だけの時間」を壁打ちで作る
対人関係や試合の結果に疲れたなら、公園の壁打ち場へ行きましょう。誰にも迷惑をかけず、ただひたすらにボールを叩く。リズムに乗ってボールが返ってくる音を聞いているうちに、自分がなぜテニスを始めたのか、その原体験(ただボールを打つのが楽しかった感覚)を思い出すことがあります。
4. 成長の記録を「過去の自分」と比べる
他人との比較は終わりがありません。半年前、1年前の自分の動画を見てください。今悩んでいるポイントは、実は「1年前には悩むことすらできなかった高度な課題」ではありませんか?歩みは遅くとも、確実に前進している自分を認めてあげてください。
まとめ:テニスは「一生の趣味」。今は少し休むだけ
テニスにおいて、挫折は通過儀礼のようなものです。多くのベテランプレーヤーも、一度や二度は「もう辞める」とラケットを置いた経験を持っています。
もし、どうしても今が辛いなら、無理にコートに立つ必要はありません。2週間、あるいは1ヶ月、テニスから完全に離れてみてください。その間に読みたかった本を読み、別の趣味に没頭してみる。そうして時間が経った時、ふとテレビで試合を観たり、街でテニスウェアの人を見かけたりして、「ああ、やっぱりあの感触を味わいたいな」と思えたら、その時が再出発のタイミングです。
テニスコートは、あなたがまた笑顔で戻ってくるのを、いつでも静かに待っています。
次の一歩として、まずは今の自分の気持ちを整理するために、テニスノートに「今の辛さ」をすべて書き出してみるのはいかがでしょうか。


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