ソフトテニスのラケット選びで、一度は憧れるのが「1本シャフト(シングルシャフト)」ではないでしょうか。現在、テニスコートを見渡せば主流は2本シャフト(ダブルシャフト)ですが、それでもトッププレイヤーやこだわり派のストローカーたちが1本シャフトを離さないのには、理屈を超えた「官能的な打球感」があるからです。
今回は、長年さまざまなラケットを打ち比べてきた経験をもとに、1本シャフトの真実を語り尽くします。
1本シャフトの正体:なぜ「しなり」が別格なのか
1本シャフトの最大の特徴は、その名の通り喉元(スロート部分)が分かれていない構造にあります。2本シャフトが「面安定性」と「弾き」を重視するのに対し、1本シャフトは「ラケット全体が弓のようにしなること」に特化しています。
実際に振ってみると、スイングの始動からインパクトにかけて、シャフトが大きく溜めを作るのがわかります。この溜めがあるからこそ、ボールをガットで「点で弾く」のではなく「面で捕まえ、押し出す」という独特のホールド感が生まれるのです。
【体験談】1本シャフトを使って感じた「ロマン」と「現実」
私がジオブレイク80Gを手にした時の衝撃は今でも忘れません。
独自の打球感:ボールを「潰して運ぶ」快感
インパクトの瞬間、ボールが一度ガットに深く沈み込み、そこからシャフトの復元力で一気に弾き出される感覚があります。この時、手のひらに伝わってくる情報の密度が凄まじいのです。「あ、今ボールの芯を喰ったな」というのが指先まで鮮明に伝わります。この情報量こそが、コースの打ち分けや長短のコントロールを可能にする武器になります。
伸びの凄まじさ:ベースライン際でグンと落ちる
2本シャフトで打ったボールが「直線的な弾丸」だとしたら、1本シャフトのボールは「重戦車」です。シュートボールを打った際、バウンドした後にボールがもう一伸びして、相手のラケットを弾き飛ばすような力強さがあります。この「エグい伸び」こそが、後衛が1本シャフトを愛してやまない最大の理由です。
突きつけられる現実:ミスへの不寛容
もちろん、良いことばかりではありません。1本シャフトはスイートスポットをわずかに外すと、途端にラケットがねじれ、コントロールを失います。ボレーやスマッシュなどの咄嗟の動きでは、2本シャフトのような「面が勝手に仕事をしてくれる」感覚はありません。あくまで自分のスイングでボールを支配し続ける筋力と技術が求められます。
1本シャフト vs 2本シャフト、どちらを選ぶべきか?
現代のソフトテニスは高速化が進んでいます。その中で、あえて1本シャフトを選ぶべき人は以下のようなプレイヤーです。
- 「一撃」にすべてをかけたい後衛プレイヤー単なるポイント奪取だけでなく、相手を圧倒する打球の威力にこだわりたいなら、ボルトレイジ8Sのような最新モデルも良いですが、一度は1本シャフトのジオブレイク80Gを試すべきです。
- 自分のスイングを磨きたい人ラケットが助けてくれない分、正しいフォームで振り切らなければ飛びません。自分の技術を極限まで高めたいストイックなプレイヤーにとって、最高のコーチになります。
逆に、ダブルスで前後の入れ替わりが激しい、あるいは操作性を重視してミスを減らしたいのであれば、エフレーザーシリーズのような2本シャフトの方が、トータルの勝率は安定するかもしれません。
結論:1本シャフトは「使い手を選ぶが、応えてくれる」相棒
1本シャフトは、決して万人向けのラケットではありません。しかし、その「しなり」から放たれる一撃を知ってしまうと、二度と他のラケットには戻れない魔力があります。
「道具に頼るのではなく、道具と一体になってコートを支配したい」。もしあなたがそう願うストローカーなら、ぜひ1本シャフトを手に取ってみてください。その打球音、その手応え、そしてコートに突き刺さるボールの軌道が、あなたのテニス人生に新しい景色を見せてくれるはずです。


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