卓球場でバッグから取り出した瞬間、周囲の視線が突き刺さるのを感じます。それもそのはず、手にしているのは伝統的な円形ではなく、角張った「六角形」のラケット。スウェーデンの老舗メーカーSTIGAが放ったサイバーシェイプは、単なる色物か、それとも革命か。実際にメインラケットとして打ち込んだ経験をもとに、その衝撃的な使用感を余すことなくお伝えします。
なぜ「六角形」なのか?数値以上に感じる圧倒的な安心感
まず、誰もが抱く「角があって打ちにくいのでは?」という懸念。これについては、最初の5分で完全に裏切られることになります。実は、サイバーシェイプの形状は、人間工学とデータに基づいて設計されています。
最大の恩恵は、先端に向かって広がる形状が生み出す「スイートスポットの広さ」です。従来のラケットでは「あ、今の少し先端に当たって落ちたかな」と思うような球でも、このラケットなら威力あるドライブとして相手コートに突き刺さります。数値上は打球エリアが約11%拡大しているとのことですが、体感としては「どこに当たってもコートに入る」ような、底知れない安心感があります。
【体験談】台上で化ける、六角形特有の操作性
このラケットの真価が発揮されるのは、実は激しい引き合いよりも、繊細な「台上技術」にあると感じました。
- チキータとフリックの劇的変化ラケットの先端が直線的であるため、台の表面ギリギリでラケットを振っても、円形ラケットに比べて角がぶつかりにくいのです。特にバックハンドの台上技術では、面をギリギリまで寝かせることができ、これまで以上に鋭い角度で球を捉えられるようになりました。
- サーブの回転量が増す感覚サーブを出す際、ラケットの「角」が視覚的なインジケーターになります。面をどれくらい開いているかが直感的に分かりやすく、特に下回転を思い切り切りたい時に、ラケットの重みを先端に乗せて振り抜く感覚が非常に掴みやすいのです。
実際に使ってわかった、避けては通れない「デメリット」
もちろん、魔法の杖ではありません。数ヶ月使い込む中で、いくつか苦労した点もありました。
- ラバーの貼り替えが「特殊任務」最大のネックは、ラバーのカットです。標準的なサイズで切られた他人のラバーを借りて貼ることはほぼ不可能です。新しくラバーを下ろす際も、専用の型紙に沿って慎重に切る必要があり、慣れるまでは少し緊張します。
- 重心バランスへの慣れが必要先端が広いため、重心がわずかにヘッド寄りにあります。テナジー05のような重めのラバーを両面に貼ると、スイング時にかなりの遠心力を感じます。パワーヒッターには武器になりますが、コンパクトな振りを重視する方は、ラバーの厚みで調整したほうが良いでしょう。
結論:このラケットは「本気で勝ちたい人」への招待状
サイバーシェイプは、決して話題作りのための奇抜なデザインではありません。実際に打ってみれば、それが勝利のために最適化された「理にかなった進化」であることを肌で感じるはずです。
最初は見た目に抵抗があるかもしれません。しかし、一度その広いスイートスポットと台上での自由度を知ってしまえば、もう「丸いラケット」には戻れなくなる——そんな魔力が、この六角形には秘められています。
練習場で「そのラケット、どうですか?」と聞かれたら、私は自信を持ってこう答えます。「卓球の常識が、少しだけ書き換わりますよ」と。


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