テニスショップのラケットコーナーで、全く同じシリーズなのに「98」と「100」という数字が並んでいるのを見て、頭を悩ませたことはありませんか?「わずか2インチ(約$13cm^2$)の差なんて誤差でしょ」と思うかもしれませんが、実際にコートでボールを打ってみると、その差は驚くほど残酷にプレーに現れます。
今回は、数多くのラケットを使い倒してきた経験から、98インチと100インチのリアルな違いと、後悔しない選び方を深掘りします。
スペック表では見えない「2インチの壁」
一般的に100インチは「黄金スペック」と呼ばれ、300g前後の重量と組み合わされるテニス界の標準です。一方の98インチは、少し振り抜きを重視した「コントロール系」の入り口と言えます。
しかし、数値以上にプレーヤーが感じるのは「空気抵抗」と「情報の密度」の差です。
【体験談】98インチ:自分を追い込み、快感を得るストイックな選択
私がヨネックス VCORE 98をメインで使っていた時期、最も感じたのは「振り抜きの良さ」でした。フレームが薄く、フェイスがシュッとしているため、スイングスピードが自然と上がります。
- 「ボールを潰す」感覚が研ぎ澄まされる芯で捉えた時の「ガチッ」という手応えは、100インチでは決して味わえません。狙ったラインの数センチ内側を射抜くようなコントロール性は、98インチ特有の特権です。
- オフセンター時の「絶望感」一方で、少しでも打点が遅れたり、芯を外したりすると、ボールは全く飛んでくれません。手に伝わる不快な振動も大きく、調子が悪い日は「今日は100インチにしておけばよかった……」と心底後悔します。
まさに、自分のスイングを磨き続けたいストイックなプレーヤーや、ネットプレーで繊細なタッチを求める方にこそ、この「苦労の先の快感」を味わってほしいです。
【体験談】100インチ:試合で勝つための「究極の妥協」と「安心感」
バボラ ピュアドライブに代表される100インチの世界は、一言で言えば「寛容」です。長年98インチを信奉していた私が、週1プレーヤーになってからヘッド スピード MP(100インチ)に乗り換えた時の衝撃は今でも忘れません。
- 「あと一歩」が届き、返る強み追い込まれて、体勢を崩しながらなんとかラケットを当てた時。98インチならネットにかかっていたはずのボールが、100インチなら相手のベースライン付近まで深く返ってくれます。この「アシスト感」が、試合後半の疲れた身体には神様のように感じられます。
- スピンの自動生成フェイス面積が広い分、ガットのたわみも大きく、勝手に回転がかかってくれます。高い打点から叩きつけるようなショットでも、100インチならグンと沈んでコートに収まってくれる安心感があります。
あなたはどっち?プレイスタイル別・診断チェック
結局のところ、どちらが良いかは「あなたがテニスに何を求めるか」に集約されます。
98インチを選ぶべき人
- 自分からガンガン振っていきたい: ラケットに飛ばしてもらうのではなく、自分の力でボールを叩きたい。
- ボレーの精度を極めたい: 面が小さい分、操作性が高く、ダブルスのポーチなどでも素早く反応できます。
- スイングスピードが速い: ウィルソン ブレード 98のようなモデルで、パワーをコントロールに変えたい。
100インチを選ぶべき人
- 試合で安定して勝ちたい: ミスを減らし、安定したストロークで相手を崩したい。
- スピンを武器にしたい: 現代テニスの主流である、高い弾道のスピンボールを楽に打ちたい。
- 身体への負担を減らしたい: スイートスポットが広いため、肘や肩への衝撃を最小限に抑えられます。
結論:迷ったら「100」、こだわりたいなら「98」
もしあなたが「どちらにするか夜も眠れないほど迷っている」のであれば、まずは100インチを選ぶことをおすすめします。現代のラケットは進化しており、100インチでも十分なコントロール性能を持つモデルが増えているからです。
しかし、もしあなたが「自分の力でボールを支配している感覚」を何よりも愛するのであれば、迷わず98インチを手に取ってください。そのわずかな面積の差が、あなたのテニス人生に新しい刺激を与えてくれるはずです。
最後は、ぜひショップで両方のモデルを試打してみてください。スペック表の数字ではなく、あなたの右手が感じる「しっくりくる感」こそが、正解の証です。


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