テニスを続けていると、誰もが一度は「もっと針の穴を通すようなコントロールが欲しい」と願う瞬間があります。特に、スイングスピードが上がってきてボールがバックアウトし始めた中上級者にとって、ストリングパターン「18×20」のラケットは抗いがたい魅力を放つ存在です。
私自身、長年一般的な16×19(オープンパターン)を愛用してきましたが、18×20(密なパターン)に転向した際に感じた衝撃と、そこから得られたリアルな体験をもとに、このマニアックながら奥深いスペックの真実を語ります。
18×20を実際に握ってコートに立った時の「衝撃」
初めて18×20のラケットでフルスイングした時、真っ先に感じたのは「ボールの情報の解像度」が劇的に上がる感覚でした。
「潰す感覚」が手に取るようにわかる
16×19が「ガットのたわみで飛ばす」感覚なら、18×20は「フレーム全体でボールを捕らえ、芯で潰す」感覚です。インパクトの瞬間にボールが一度潰れ、そこから狙った方向へ正確に射出される手応えは、一度味わうと病みつきになります。特に Wilson Blade 98 18x20 のようなしなやかなモデルでは、ボールを「運ぶ」感覚がより鮮明になります。
狙ったミリ単位のコースが外れない
オープンパターンでは、時に意図しない「跳ね」や「バラつき」が生じることがありますが、18×20にはそれがありません。ライン際を狙ったフラットドライブが、吸い込まれるようにコートに収まる安心感。この「思考と打球が直結する感覚」こそが、競技者がこのスペックを愛してやまない最大の理由です。
メリットだけではない。18×20が突きつける「代償」
もちろん、いいことばかりではありません。18×20は使い手にそれ相応の技術と覚悟を求めてきます。
- 「パワー」は自前で用意する必要があるラケットが助けてくれる部分は極めて少ないです。自分からしっかり踏み込み、体全体を使ってスイングしないと、ボールは浅くなり、相手のチャンスボールになってしまいます。
- スピンの「質」が変わる「勝手にかかるスピン」は期待できません。しかし、厚い当たりでボールを潰しながら擦ることで、バウンド後に低く滑り、相手の打点を狂わせるような「攻撃的なフラットドライブ」が打てるようになります。
- スイートスポットのシビアさ真ん中を外した瞬間に、手に伝わる振動と飛距離の減衰は正直にやってきます。オフセンターでも誤魔化せる Babolat Pure Strike 18x20 のようなモデルであっても、オープンパターンに比べればその差は歴然です。
後悔しないためのセッティング:ガット選びとテンション
18×20に乗り換えて「飛ばない、硬い」とすぐに諦めてしまうのはもったいない話です。実は、このパターンを使いこなすにはセッティングにコツがあります。
私の実体験から言えるのは、**「16×19の時よりもテンションを3〜5ポンド下げる」**ことです。面圧が高くなりやすいため、少し緩めに張ることで、ホールド感とパワーのバランスが驚くほど改善されます。また、少し柔らかめのポリや、細ゲージのストリングを選ぶのも賢い選択です。
2026年、今選ぶべき18×20の名機たち
現在、多くのメーカーがこのスペックをラインナップしていますが、特に信頼できるのが以下の3本です。
- Wilson Blade 98 18x20しなりと安定感の代名詞。トッププロの使用率が高いのも頷ける、コントロールラケットのベンチマークです。
- Head Prestigeより重厚な打球感を求めるならこれ。Auxetic技術により、ミスヒット時の不快な振動が抑えられ、18×20の良さが際立ちます。
- Tecnifibre TFight 305 ISOダニール・メドベージェフ選手の使用で知られるこのモデルは、密なパターンながら驚くほどのパワーと安定性を両立しています。
結論:18×20は「テニスを真剣に変えたい人」への贈り物
もしあなたが、「今のラケットではボールが暴れる」「もっと自分のスイングを信じて振り抜きたい」と感じているなら、18×20は最高のパートナーになるはずです。
確かに最初は難しさを感じるかもしれません。しかし、そのシビアさがあなたのスイングを磨き、いつの間にか「点」でコートを支配する喜びを教えてくれるでしょう。まずは一度、自分のスイングでボールを真っ平らに潰す快感を味わってみてください。テニスの景色が、きっと変わります。


コメント