テニスラケットを選ぶ際、フェース面積や重さにはこだわっても「ストリングパターン(ガットの目の数)」を意識する人は意外と少ないかもしれません。しかし、もしあなたが「もっと楽に回転をかけたい」「ボールが乗る感覚が欲しい」と切実に願っているなら、16×18という選択肢はまさに魔法の杖になる可能性があります。
主流である16×19よりも横糸が1本少ない、この「少しの差」がコート上でどのような劇的な変化をもたらすのか。私自身が実際にコートで感じた衝撃的な体験をもとに、そのリアルな使用感を深掘りしていきます。
なぜ16×18なのか?「食いつき」の正体
一般的に流通しているラケットの多くは16×19です。そこから横糸を1本減らした16×18は、ガットのマス目がわずかに大きくなります。この「広さ」が、インパクトの瞬間にガットが大きくたわみ、ボールを包み込むような独特のホールド感を生み出すのです。
実際に打ってみると、インパクトの瞬間に「パチン」と弾くのではなく、「グニュッ」とボールが一度ラケットに吸い付いてから放たれるような感覚があります。このコンマ数秒の長い接触時間が、プレーヤーに圧倒的な安心感とコントロールの余地を与えてくれるのです。
【実体験】16×18に変えて驚いた3つのポイント
1. 弾道の高さが勝手に上がる
一番驚いたのは、ネットのかなり上を通してもボールが急激に落ちてコートに収まることです。「あ、これアウトだな」と思ったスイングでも、ベースライン際でグンと沈んでくれます。特に、守備に回らされた時に下から上に振り上げるスイングでは、スピンが自動的にかかってくれる感覚があり、一気に形勢逆転できるシーンが増えました。
2. ボレーがとにかく楽になる
ストロークだけでなく、ボレーでの恩恵も無視できません。目が粗いことで、軽く当てるだけでガットがたわみ、ボールを運んでくれます。ボレーが苦手な人にとって、この「勝手に飛んでくれるアシスト感」は大きな武器になります。
3. 体への負担が軽減される
16×18は打球感が非常に柔らかいです。高密度なパターン特有の「硬い壁で打っているような衝撃」が少なく、肘や手首に不安があるプレーヤーにとっても優しい選択肢だと言えます。
避けては通れない「ガット切れ」と「暴発」の悩み
もちろん、良いことばかりではありません。16×18の最大の弱点は、ガットの消耗の激しさです。ガット同士が激しく動く(スナップバックする)ため、摩擦でガットがすぐにギザギザになり、寿命は16×19よりも2〜3割早く感じます。
また、フラット気味に厚く当てすぎてしまうと、たまに「飛びすぎる(暴発)」ことがありました。このパターンを使いこなすには、常に少し回転を意識したスイングを心がけるのがコツです。
今選ぶべき「16×18」の名器たち
16×18という絶妙なパターンを採用し、多くのファンを魅了しているラケットをいくつか紹介します。
スピン特化型として名高いWilson Burn 100Sは、まさにこのパターンの代名詞的存在です。振れば振るほどエグい回転がかかります。また、パワーとコントロールのバランスを求めるならPrince Beast DB 100も外せません。不快な振動を抑えつつ、16×18特有のホールド感を存分に味わえます。
もう少し扱いやすさを重視したい初中級者の方には、Wilson Ultra 100Lのような軽量モデルも、16×18の恩恵を受けながら楽にプレーできるためおすすめです。
まとめ:あなたのテニスに「余裕」を
16×18のラケットは、決して「変わり者」のための道具ではありません。それは、パワーを効率よく回転に変換し、プレーヤーに「ボールをコントロールしている」という確信を与えてくれる実戦的な武器です。
もし今のラケットで「球離れが早すぎる」「スピンが物足りない」と感じているなら、ぜひ一度この16×18の世界を覗いてみてください。一度その「食いつき」を味わってしまうと、もう元のパターンには戻れないかもしれません。


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