テニスショップの壁一面に並んだラケットを前に、途方に暮れた経験はありませんか?多くの人がカタログスペックの「重さ」や「面の大きさ」だけで判断し、実際にコートで打ってみて「思っていたのと違う……」と後悔しています。
テニス歴15年の私が、数々の失敗を経て辿り着いた、後悔しないためのラケット選びの極意と、実際に各タイプを使い込んだからこそ分かる「生の声」をお届けします。
1. カタログ値の「300g」がすべて同じではない理由
まず知っておくべきは、同じ300gでも「バランス」によって全く別物に感じるという点です。
- トップヘビー(先が重い): 遠心力を利用して、自分より速い球にも打ち負けずに押し返せます。ヨネックス アストレルのようなモデルに多い傾向ですが、ボレーの咄嗟の反応で「ラケットが遅れる」感覚になることもあります。
- トップライト(手元が重い): 操作性は抜群です。ネットプレーで「魔法のようにラケットが動く」感覚を味わえますが、ベースラインで打ち合う際、しっかりスイングしないと球が浅くなってしまうという難しさも併せ持っています。
2. 実体験レポ:フレームの硬さ(RA値)がもたらす「腕の疲労」の差
スペック表で軽視されがちなのが「フレームのしなり」です。
かつて私は、とにかくパワーが欲しくて非常に硬いフレームのバボラ ピュアドライブを使用していました。確かに、軽く当てるだけでピンポン玉のようにボールが飛んでいく爽快感は最高です。しかし、2時間を超える試合の後半、手首から肘にかけて鈍い痛みを感じるようになりました。硬いラケットは衝撃を吸収せず、そのまま腕に伝えてくるからです。
一方で、ウィルソン ブレードのような「しなり」を重視したモデルに持ち替えた際、最初は「飛ばない」と感じて焦りました。しかし、自分の力で最後まで振り切ったときの「ボールを掴んで放す」ような独特のホールド感は、コントロールの安心感に直結します。何より、3セットマッチを戦い抜いても腕の疲労が明らかに少なかったのが衝撃でした。
3. 「黄金スペック」という言葉に騙されないで
一般的に初心者から上級者まで使いやすいと言われる「300g・100平方インチ」という黄金スペック。確かに失敗は少ないですが、それが「あなたに最適」とは限りません。
例えば、非力な自覚がある女性が「みんな使っているから」と300gのヘッド スピードを選んだ場合、最初の30分は良くても、疲れてくるとスイングスピードが落ち、スピンがかからずアウトを連発する……という光景を何度も見てきました。
逆に、パワーのある男性が軽すぎるダンロップ LX800などを使うと、打球が軽くなりすぎて相手のチャンスボールになりがちです。
4. 失敗しないための「試打」チェックリスト
ラケットを新調する際は、必ず以下の3つのシチュエーションを試してください。
- 守備の時: 振り遅れたとき、ラケットがどれだけ助けてくれるか?
- ボレーの時: ネット際で咄嗟に面を作った際、面がブレないか?
- 1時間経過後: 疲れてきたときに「重い」と感じないか?
まとめ:あなたの「感覚」が正解
最終的に信じるべきは、メーカーのキャッチコピーではなく、あなたの手のひらが感じる「感触」です。
プリンス ビーストのような攻撃的なモデルが合う人もいれば、クラシックな打感を求める人もいます。スペック表の数字を理解した上で、実際にコートに立ち、自分のスイングが一番「心地よい」と感じる一本を見つけてください。その心地よさこそが、あなたのテニスを一段上のステージへ引き上げてくれるはずです。


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