「もっと本格的にテニスを楽しみたい」「プロのような鋭いボールを打ちたい」そう考えたときに必ず目に入るのが、各メーカーのラインナップに並ぶ「ツアーモデル」の文字です。
しかし、いざ手に取ろうとすると「自分には重すぎるのではないか」「上級者専用で扱いきれないのではないか」と不安になる方も多いでしょう。この記事では、ツアーモデルの定義から、実際に使って分かったリアルな打感、そして失敗しない選び方まで、実体験に基づいた視点を交えて詳しく解説します。
そもそもラケットの「ツアーモデル」とは何か?
テニスラケットにおける「ツアーモデル」とは、一言で言えば「競技者・プロ仕様」を前提に設計されたモデルを指します。
一般的なモデルが「いかに楽に、遠くへ飛ばすか」を重視しているのに対し、ツアーモデルは「自分の力でコントロールし、狙った場所へ叩き込む」ことに主眼が置かれています。主なスペック的な特徴は以下の通りです。
- 重量: 一般的に310g前後から、重いものでは320gを超えることもあります。
- フェイス面積: 95〜98平方インチとやや小さめで、振り抜きやすさを追求しています。
- フレーム厚: 20〜22mm程度の薄いフレームが多く、しなり(ホールド感)が強いのが特徴です。
- バランス: 重心が手元に近い「トップライト」設計。重さの割に操作性は確保されています。
一般モデルと何が違う?実際に打ってみて感じた「壁」と「快感」
私は長年、バボラ ピュアドライブのような黄金スペック(300g/100平方インチ)を愛用してきましたが、一時期「もっとコントロールを極めたい」という好奇心から、ツアーモデルであるウィルソン プロスタッフ 97に乗り換えたことがあります。
そこで感じたのは、数値以上の圧倒的な違いでした。
1. 「飛ばない」からこそ「叩ける」安心感
一般モデルではフルスイングするとアウトしてしまうような場面でも、ツアーモデルはボールをしっかり「潰す」感覚があり、コートの深い位置でグンと沈んでくれます。「どこまでも全力で振り抜ける」という安心感は、ツアーモデル最大の快感です。
2. 繊細なタッチと情報量
ボレーやドロップショットを打つ際、手のひらに伝わってくる情報の密度が違います。「今、面のどこに当たったか」が手に取るようにわかるため、微調整が利きやすくなります。
3. 容赦ない「疲労感」
一方で、体験して分かった最大の壁は「疲労」です。練習開始の30分間は最高の球が打てますが、2時間を超える試合の後半になると、315gの重さが牙を剥きます。足が止まり、スイングスピードが落ちた瞬間に、ツアーモデルはただの「飛ばない棒」に変わってしまいます。
【体験談】ツアーモデル選びでよくある失敗例
私が周囲のプレイヤーを見ていて、また自分自身が経験して感じた「ツアーモデルの落とし穴」を共有します。
- 「憧れ」だけで選んでしまう: 憧れのプロが使っているからと、ヨネックス VCORE 95のようなハードなスペックを選び、テニス肘を患ってしまうケースは少なくありません。
- ガットのセッティングミス: ツアーモデルはもともと飛ばないため、そこに硬いポリエステルガットを高テンションで張ってしまうと、板で打っているような衝撃になります。
- スペックの数値に騙される: カタログスペックでは5gの差でも、実際に振ってみるとスイングウェイトの影響で全く別物に感じることがあります。
あなたはツアーモデルに挑むべきか?判断基準をチェック
もしあなたが以下の項目に3つ以上当てはまるなら、ツアーモデルを使いこなせる可能性が高いです。
- 今のラケットでは、思い切り振るとボールがバックアウトしやすい。
- スクールなどで「スイングスピードが速い」とコーチに言われる。
- 1試合(約1時間)走りきれるだけの体力と筋力がある。
- 「楽に飛ばす」ことよりも「ミリ単位のコントロール」に喜びを感じる。
- ヘッド ラジカル MPなどの標準的なモデルを既に使いこなしている。
失敗しないための購入ステップ
ツアーモデルへの移行を検討しているなら、まずはヨネックス EZONE 98のような、ツアーモデルの中でも比較的パワーをアシストしてくれる「扱いやすいツアーモデル」から入るのが正解です。
いきなり最高峰のハードスペックに挑むのではなく、まずは自分のスイングで「3セット戦いきれるか」を基準に試打を行ってください。
ツアーモデルは、あなたのテニスをより正確で、より力強いものへと進化させてくれる可能性を秘めています。その「重み」を味方につけたとき、これまで届かなかったショットがコートに突き刺さるはずです。
次回の練習では、ぜひショップのレンタルサービスを利用して、憧れのツアーモデルをコートで体感してみてください。


コメント