テニスラケットを選ぶ際、デザインや重さ以上にプレーの質を左右するのが「フレーム厚」です。ショップの棚に並ぶラケットを横から見てみると、カミソリのように薄いものから、ボテッと厚みのあるものまで様々ですよね。
「厚いと飛ぶ、薄いと飛ばない」というのは基本ですが、実はそれ以上に「打感」や「疲労度」、そして「心の余裕」にまで影響します。今回は、10本以上のラケットを使い込んできた私の実体験を交え、フレーム厚の真実を語り尽くします。
1. フレーム厚がプレーに与える「4つの変化」
スペック表に記載されている「22mm」や「26mm」という数字。たった数ミリの差ですが、コートに立つとその違いは残酷なほど明確に現れます。
反発力の違い:弾きか、しなりか
厚いフレームは物理的に硬く、ボールが当たった瞬間に復元しようとする力が強いため、勝手にボールを弾き飛ばしてくれます。逆に薄いフレームは、インパクトの瞬間にグニャリと「しなる」感覚があります。自分のパワーを100%ボールに伝えたいなら薄い方、ラケットに助けてほしいなら厚い方を選ぶのが鉄則です。
打球感の生々しさ
薄ラケの愛好家が口を揃えて言うのが「情報を掴む感覚」です。ボールがガットのどこに当たり、どれくらい潰れたかが手に取るようにわかります。対して厚ラケは、不快な振動がカットされ、マイルドで「パチーン」と爽快に弾く感触が特徴です。
スイートスポットの広さ
フレームが厚くなるほど、面の安定性が増します。多少芯を外しても、フレームが負けずに相手のコートへ押し返してくれる。この「ミスへの寛容さ」こそが、試合後半の疲れが出た時に大きな武器になります。
2. 【体験談】薄ラケ・厚ラケを使い比べて分かった本音
実際に極端なスペックを使い分けた際のエピソードをご紹介します。
「薄ラケ」に変えたら、アウトの恐怖が消えた
以前、私はパワー不足を補おうと厚めのラケットを使っていました。しかし、フルスイングするとボールがバックアウトしてしまう恐怖から、無意識にスイングを加減する癖がついてしまったんです。
そこで思い切ってWilson プロスタッフのような21.5mmの薄ラケに変えたところ、どれだけ全力で振ってもコートに収まる安心感が手に入りました。「自分の力でコントロールしている」という実感は、テニスの楽しさを一段階引き上げてくれました。
「厚ラケ」が教えてくれた、ボレーの安定感
逆に、ダブルスの試合でボレーに苦しんでいた時期は、26mm以上あるBabolat ピュアドライブなどの反発力の高いモデルに救われました。相手の強打に対しても、面をセットするだけで「壁」のように跳ね返してくれる。ボレーが苦手な人にとって、フレームの厚みは「心の余裕」に直結します。
3. あなたはどれ?タイプ別・おすすめフレーム厚
ネットの情報だけでは迷ってしまう方へ、私の経験則から導き出したガイドラインです。
「ガンガン振ってコントロールしたい」なら【薄ラケ:22mm以下】
スイングスピードに自信があり、自分のタッチでボールを操りたい競技者向けです。
- 代表的なモデル: HEAD プレステージ
「迷ったらこれ。万能な相棒」なら【中厚:23〜26mm】
現代テニスの標準。パワーとコントロールのバランスが最も良く、初級から上級まで全方位に対応します。
- 代表的なモデル: YONEX EZONE
「楽に、スマートに勝ちたい」なら【厚ラケ:26mm以上】
少ない力で深いボールを打ちたい、あるいはダブルス中心でネットプレーを安定させたい人におすすめです。
- 代表的なモデル: Dunlop LX 1000
4. 最後に:フレーム厚とガットの相関関係
最後に一つ、重要なアドバイスがあります。フレーム厚を変えるなら、ガットのテンションも見直してください。
厚ラケに柔らかいガットをゆるく張ると、飛びすぎて制御不能になります。逆に薄ラケをカチカチに張ると、板で打っているような衝撃が腕を襲います。
まずは自分が「振りにいきたいのか(薄め)」、「助けてほしいのか(厚め)」を決めましょう。その選択が、あなたのテニスライフをより豊かにする第一歩になります。
次は、実際にショップでテニスラケットを手にとって、その横顔を眺めてみてください。厚みの違いに、あなたの理想のプレーが隠れているはずです。


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