【ラケットの歴史】昔はどう呼んでた?テニス・卓球・バドミントンの変遷と懐かしの「使用感」

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「昔のラケットって、今みたいにカーボンなんて洒落たものはなかったよね」

そんな会話がスポーツ教室の隅から聞こえてきそうです。現代では軽量で強靭な素材が当たり前ですが、ほんの数十年前まで、ラケットは「生き物」に近い、もっと手のかかる道具でした。

今回は、テニス、卓球、バドミントンを中心に、ラケットがかつてどう呼ばれ、どのような体験を私たちに与えてくれていたのか、そのノスタルジー溢れる世界を紐解きます。


1. テニス:かつては「バット」と呼ばれた時代も?

今でこそテニスラケットと呼びますが、明治時代にテニスが日本に伝わった当初、一部では「バット」という呼び名が使われていた記録があります。これは野球の影響が強かったためと言われていますが、道具そのものの進化も劇的でした。

木製(ウッド)時代の「重み」と「儀式」

1970年代から80年代初頭まで、テニス界の主役は ウッドラケット でした。今のラケットが300g前後なのに対し、当時のウッドはもっと重厚で、振り抜くには相応の筋力が必要でした。

特筆すべきは、練習後の「儀式」です。木製のフレームは湿気や乾燥ですぐに歪んでしまうため、保管時は必ず ラケットプレス という木製の枠に挟み、4隅のネジをキリキリと締め上げる必要がありました。あのネジを締める感覚、そしてバッグから出した時の木の香りは、当時のプレーヤーにとって「スポーツと向き合う時間」そのものでした。


2. 卓球:太鼓のような音から生まれた「ピンポン」

卓球のラケットも、昔は今のようなラバーが貼られた姿ではありませんでした。

羊の皮を張った「バンジョーラケット」

19世紀末のイギリスでは、ラケットの代わりに「バンジョー」のような形をした、動物の皮を張った道具が使われていました。この皮を張ったラケットでボールを打つと、「ピン、ポン」という高い音が響いたことから、そのまま競技名として「ピンポン」という愛称が定着したのです。

その後、一枚ラバー やスポンジが登場しますが、昔の熟練プレーヤーの中には「今のラバーは弾みすぎて面白くない。あのパチパチというダイレクトな打球感が懐かしい」と語る人も少なくありません。


3. バドミントン:風を切る細い「木の枝」

バドミントンもまた、長くウッドフレームの時代が続きました。

繊細だったガット(腸)の記憶

バドミントンのラケットはテニスに比べてフレームが細いため、ウッド時代は本当に繊細な道具でした。当時はナイロン製ではなく、牛や羊の腸を加工した「天然ガット(ナチュラルガット)」が主流。

雨の日の試合ともなれば、ガットが湿気を吸ってボヨンボヨンに緩み、打球音が低くなる。逆に乾燥した日はパキパキに張り詰める。湿気を嫌うガットを守るために、練習後はビニール袋に入れて大切に保管していたものです。今の バドミントンラケット には、あの頃のような「湿気に怯える感覚」はほとんどありませんが、あの独特の打球音の響きは、天然素材ならではの贅沢な体験でした。


4. 80年代に訪れた「デカラケ・厚ラケ」の衝撃

1980年代後半、ラケットの呼び方に新しい流行語が加わりました。それが「デカラケ」や「厚ラケ」です。

ヘッドプリンス といったメーカーが、ウッドの限界を超えた大型フレームを次々に発表。「こんなに大きな面で打っていいのか?」と当時のベテラン勢を驚かせましたが、一度その楽な飛びを体験してしまうと、もう重いウッドには戻れない……そんな「技術革新の波」に飲み込まれる感覚を、当時の現役世代は肌で感じていたはずです。


5. まとめ:道具は変わっても、残る記憶

「昔の言い方」を調べると、そこには単なる名称の変化だけでなく、道具と真剣に向き合っていた人々の体温が残っています。

ネジを締め、湿気を気にし、動物のガットの匂いを感じながらボールを打つ。不便ではありましたが、それは今の高性能な カーボンラケット では味わえない、道具を「育てる」ような愛着に満ちた体験でした。

もし物置に古い ヴィンテージラケット が眠っていたら、一度手に取ってみてください。あの頃の重みと共に、コートを駆け回っていた記憶が鮮やかに蘇るはずです。

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