「カーボンより柔らかいけれど、純木材より弾む」——そんな魔法のような言葉に惹かれてザイロン素材のラケットを手に取る人は少なくありません。しかし、実際に打ってみるとその独特な「掴んで弾く」感覚に驚くはずです。
私自身、長年カーボンラケットの直線的な弾道に苦労してきましたが、インナーフォース レイヤー ZLCに切り替えてから、ドライブの安定感が劇的に変わりました。本記事では、机上の空論ではない、実際の打球感に基づいたザイロンラケットの真実を語り尽くします。
そもそも「ザイロン」とは何なのか?
ザイロン(PBO繊維)は、驚異的な強度と弾力性を持つスーパー繊維です。卓球の世界では主に、カーボンと編み込んだ「ZLC(ザイロンカーボン)」と、ザイロンのみを編み込んだ「ZLF(ザイロンファイバー)」の2種類が存在します。
実際に打ってみて感じる最大の特徴は、手に伝わる振動が非常に心地よいという点です。硬いカーボンラケット特有の「パチン」という痺れるような衝撃ではなく、「グニュッ」と一瞬球を掴んでから、強烈な復元力で「ドシュッ」と飛び出していく感覚。これがザイロンの正体です。
ZLCとZLF、どちらを選ぶべきか?実体験による比較
圧倒的な攻撃力のZLC
水谷隼 ZLCに代表されるZLCは、とにかく前中陣での引き合いで負けません。バタフライの代表的なカーボン素材である「アリレートカーボン(ALC)」と比較すると、弾みの強さは明らかにZLCが上です。
- 実際の使用感: ALCが「ポコッ」と高い音で飛んでいくなら、ZLCは「重い一撃」が打てる感覚。ただし、スイートスポットは広いものの、しっかり振り抜かないと球離れが速く感じる場面もありました。
究極の球持ちと回転のZLF
一方、インナーフォース レイヤー ZLFのようなZLFは、特殊素材とは思えないほど「しなり」ます。
- 実際の使用感: 5枚合板から移行した際、違和感のなさに驚きました。ループドライブの回転量が跳ね上がり、台から下げられても「あと一伸び」が出て相手のコートに収まってくれます。パワーに自信がないけれど、合板では飛距離が足りないという方には最高の選択肢です。
私が感じたザイロンラケットの「メリット」と「落とし穴」
〇 良かった点:勝手に球が深く入る安心感
ザイロンの最大の恩恵は、フォームが多少崩れても素材の復元力が助けてくれることです。特に中陣からのバックハンドドライブなど、力が伝わりにくい場面で「え、これが入るの?」という弾道を描いてくれます。
× 注意点:ラバーとの相性がシビア
ここが重要なポイントですが、ザイロンは非常に弾むため、ディグニクス05のような硬いハイテンションラバーを貼ると、制御不能なモンスターマシン化します。私は最初、この組み合わせでオーバーミスを連発しました。使いこなすには、少し柔らかめのラバーから試すか、インナー(内側)に素材が入ったモデルを選ぶのが正解です。
結論:ザイロンは「欲張りなプレーヤー」への回答
「スピードは欲しい、でも回転もかけたい。何より打っていて気持ちよくありたい」
そんな我儘な願いを叶えてくれるのがザイロンラケットです。
もしあなたが今、自分の打球に威力不足を感じているなら、張本智和 インナーフォース ZLCのような最新モデルを一度試してみてください。木材の温もりを残しながら、異次元のスピードを手に入れたとき、あなたの卓球は確実に次のステージへ進むはずです。


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