卓球を続けていれば、誰もが一度は憧れるのが「水谷隼」の名を冠したラケットです。しかし、いざ買おうと思うと「カーボンが強すぎて扱えないのでは?」「値段に見合う価値はあるのか?」と足踏みしてしまう方も多いはず。
私自身、中学生の頃から数多のラケットを渡り歩き、最終的に水谷隼 ZLCと水谷隼 SUPER ZLCの両方を数年間にわたって使い込んできました。その実体験に基づき、カタログスペックだけでは分からない「本当の使用感」を忖度なしでお伝えします。
なぜ水谷隼モデルは「魔法の杖」と呼ばれるのか
水谷隼氏のプレースタイルを象徴するのは、驚異的な守備範囲と、後陣からでも相手をぶち抜く引き合いの強さです。そのプレーを支えるために開発されたラケットには、共通して「球持ちの良さ」と「圧倒的な飛距離」という、相反する要素が同居しています。
初めて水谷隼 ZLCを握ったとき、驚いたのはブロックの止めやすさでした。相手の強打を吸収しつつ、自分が打ち返すときにはしっかり弾む。この「自分の意思がラケットに伝わる感覚」こそが、多くのプレーヤーを虜にする理由です。
実際に使って感じた「ZLC」と「SUPER ZLC」の決定的な違い
よく比較されるこの2本ですが、実際に打ってみると全くの別物です。
安定と信頼の水谷隼 ZLC
私が長くメインで愛用していたのがこちらです。木材に近いしなやかさがあり、ドライブを打つ時に「ボールを掴んでいる時間」を長く感じられます。
- 体験談: 緊張する試合の場面でも、ループドライブがしっかり台に収まってくれる安心感がありました。下回転打ちに苦労している人には、これほど心強い味方はいないでしょう。
爆発力の水谷隼 SUPER ZLC
一方で、さらなる威力を求めて手を出したのが水谷隼 SUPER ZLCです。
- 体験談: 軽く振るだけで、笑ってしまうほどボールが飛んでいきます。スイートスポットが異常に広く、多少打点がズレても「なかったこと」にしてくれる寛容さがあります。ただし、ツッツキやストップなどの繊細な技術では、ボールが弾みすぎてオーバーミスを連発し、制御するのに半年以上の練習を要しました。
ラバー選びで失敗しないための相性
このシリーズは、合わせるラバーによって表情がガラリと変わります。
- 王道の組み合わせ: やはりディグニクス05やテナジー05との相性は抜群です。ラケットの弾みをラバーの回転性能が補い、弧線の高い、重い球が打てます。
- スピード重視: 前陣でテンポ速く攻めたいなら、テナジー80をバック面に貼るのがおすすめです。水谷氏本人も一時期愛用していた構成で、切り返しのスムーズさが際立ちます。
【結論】あなたはどの「水谷隼」を選ぶべきか
もしあなたが「これから中上級者を目指したい」「今のラケットでは後ろに下げられた時に飛距離が足りない」と感じているなら、迷わず水谷隼 ZLCをおすすめします。あなたの技術を底上げしてくれる「相棒」になってくれるはずです。
一方で、すでにスイングが固まっており、相手を力でねじ伏せたいパワーヒッター、あるいは予算に糸目をつけず最高峰の道具を手にしたいのであれば、水谷隼 SUPER ZLCという「名刀」に挑む価値は十分にあります。
最後に、初心者の方や「水谷選手のファンだけど、カーボンはまだ早い」という方には、木材構成の水谷隼 メジャーという選択肢もあります。
弘法筆を選ばずと言いますが、卓球においては「筆(ラケット)」がプレースタイルを作ります。水谷隼モデルを手にすることは、単に道具を変えることではなく、あなたの卓球に「粘り強さと攻撃力」という新しい哲学を取り入れることなのです。


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