テニス界の「天才」と称され、フェデラーやナダルを相手に異次元のタイミングでボールを捉えていたダビド・ナルバンディアン。彼の武器といえば、鮮やかなイエローとブラックが印象的なヨネックスのラケットですよね。引退から時間が経った今でも、コアなギア愛好家の間では「あのラケットの打球感は忘れられない」と語り草になっています。
今回は、彼が実際に使っていたモデルの正体から、筆者が実際にその「黄金スペック」に近い構成でプレーして感じたリアルな体験談まで、深掘りしてお伝えします。
ナルバンディアンが愛したラケットの正体
多くのファンが記憶しているのは YONEX RDS 001 や YONEX VCORE シリーズのペイントを施したモデルでしょう。しかし、プロテニス界では「ペイントジョブ」といって、中身は全く別の市販されていない旧モデルを使用していることが多々あります。
ナルバンディアンの場合、その中身は YONEX RD Ti-70 という、当時のヨネックスの中でも屈指のしなりと重厚感を併せ持った名器であったと言われています。
記事執筆にあたって再現したスペック
私が今回、彼の使用感を再現するために調整したスペックがこちらです。
- 重量(ガット込み): 約 $350\text{g}$
- バランス: 310mm前後のトップライト
- ストリング: ルキシロン 4G を 52ポンドで張り上げ
- カスタマイズ: フレームの3時・9時方向に リードテープ(鉛)を配置
【体験レポ】実際に打ってみて分かった「天才の感覚」
実際にこの重量級ラケットをコートに持ち出し、2時間ほどハードに打ち込んできました。結論から言うと、「甘えを一切許さないが、完璧に捉えた時の快感は麻薬的」です。
1. 相手の球威を完全に無効化する「面安定性」
まず驚いたのは、相手の強烈なサーブや重いストロークに対抗する際の手応えです。一般的な YONEX EZONE などの軽量黄金スペックでは、打ち負けまいと力を入れてしまいがちですが、このラケットは違います。面が一切ブレません。ナルバンディアンがライジングであれほど涼しい顔をしてリターンを叩き込めたのは、この「面の強さ」があってこそだと痛感しました。
2. 「しなり」が教えてくれる極上のコントロール
最近の バボラ ピュアドライブ のような中空構造の弾きとは真逆の感覚です。インパクトの瞬間、一瞬だけボールがフレームに「グニュッ」と吸い付く感覚があります。このコンマ数秒のホールド感があるからこそ、あの芸術的なアングルショットが可能になるのだと、自分の腕を通して理解できました。
3. 体力的な「重さ」という代償
正直に告白します。セット終盤になると、私の腕ではラケットを振り抜くスピードが落ち、ネットミスが増えました。ナルバンディアンはこれを試合中ずっと振り回していたのですから、その体幹の強さと技術の高さは想像を絶します。一般プレーヤーが真似をするなら、ヨネックス VCORE 98 のような現代的な扱いやすさを備えたモデルを選び、鉛で少しずつ重さを足していくのが現実的かもしれません。
ナルバンディアンの感覚を現代で味わうには?
今から当時の RD Ti-70 を中古で探すのは至難の業です。もしあなたが、彼の「低弾道で突き刺さるようなショット」を再現したいなら、最新の YONEX PERCEPT 97 を試してみてください。
このモデルは、ナルバンディアンが求めていた「正確なフィードバック」と「ホールド感」を現代のカーボン技術で再現しています。もし物足りなければ、キモニー リードテープ を使って自分なりに重さを足してみるのも、ギア好きとしての楽しみの一つでしょう。
最後に
ナルバンディアンのラケットは、単なる道具ではなく、彼のテニス哲学そのものでした。現代のテニスは「スピードとスピン」が主流ですが、彼のような「タイミングと精度」で戦うテニスには、やはりこの重厚なラケットが不可欠だったのです。
もしあなたが、パワーに頼るテニスに限界を感じているなら、一度重めの ヨネックス ラケット を手にして、ボールを「潰す」感覚を味わってみてはいかがでしょうか。そこには、新しいテニスの世界が広がっているはずです。


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