テニスショップで「48ポンドでお願いします」と注文し、仕上がったラケットを叩いてみて「あれ、思ったより硬いな?」と感じたことはありませんか?実は、その違和感の正体こそが「面圧(ストリングベッドの剛性)」です。
多くのプレーヤーがテンション(引っ張る強さ)ばかりを気にしますが、本当に打球感やコントロールを左右するのは、張り上がった後の「面圧」なのです。今回は、延べ100本以上のストリンギングを試し、泥沼のセッティング地獄を脱出した私の実体験を交え、理想の面圧の見つけ方を解説します。
なぜ「テンション」と「打球感」は一致しないのか?
結論から言うと、テンションは「設定値」であり、面圧は「結果」だからです。
例えば、バボラ ピュアドライブのような100平方インチのラケットと、ウィルソン プロスタッフのような97平方インチのラケットを同じ50ポンドで張ったとします。実際に打ってみると、プロスタッフの方が圧倒的に「硬く」感じます。これは、面積が小さい分、糸のたわみが少なくなり、結果として面圧が高くなるためです。
さらに、ストリングの種類も大きく影響します。ルキシロン アルパワーのようなポリエステル素材は、素材自体が硬いため面圧が上がりやすく、逆にテクニファイバー エックスワンバイフェイズのようなナイロンマルチは、同じポンド数でも面圧が低く(柔らかく)仕上がります。
私が体験した「高面圧」の罠と「低面圧」の解放感
かつての私は「プロっぽく硬めに張るのが正義」と思い込み、ポリを55ポンドでガチガチに張っていました。
高面圧(面が硬い状態)のリアルな体験
- 打球感: 板で打っているような「パチーン」という衝撃。
- メリット: スイングスピードが速いときは、ボールが潰れて最高のコントロール性能を発揮する。
- デメリット: 芯を外した瞬間に腕へ鋭い振動が走る。また、守備に回らされた際にボールが飛ばず、浅いチャンスボールを献上してしまう。
結局、私は手首を痛めました。そこで次に試したのが、思い切ってテンションを40ポンドまで落とした「低面圧」セッティングです。
低面圧(面が柔らかい状態)のリアルな体験
- 打球感: ボールが一度面に「ムギュッ」と吸い付いてから放たれる「ホールド感」。
- メリット: ボレーのタッチが劇的に良くなり、非力なスイングでも深く返る。
- デメリット: 縦にスイングできないとボールが暴発しやすく、飛びすぎてバックアウトする恐怖感がある。
この「吸い付き」を知ってから、私は自分のスイングの調子に合わせて、面圧を計測器(ERT300等)で数値化し、管理するようになりました。
理想の面圧を手に入れるための3ステップ
自分に最適な面圧を見つけるには、以下の手順を試してみてください。
- まずは「面積」と「パターン」を確認する18×20のような密なストリングパターンのラケットを使っているなら、一般的な16×19のラケットよりも3〜5ポンドほど下げて注文してみてください。それでようやく「同じくらいの面圧」になります。
- 「季節」で調整する夏場はストリングが伸びやすく面圧が下がります。逆に冬場は硬くなります。私は冬場、夏よりも3ポンド落として張るようにしています。これだけで「冬場だけボールが飛ばない」という悩みが解消されます。
- 「音」と「振動」に敏感になる打球音が「金属的な高音」なら面圧は高め、「こもったような低い音」なら低めです。自分の心地よい音を覚えておくと、ストリングの張り替え時(面圧の低下=寿命)を察知しやすくなります。
まとめ:数字よりも「自分の手の感覚」を信じよう
「48ポンド」という数字は、あくまでショップの機械の設定に過ぎません。大切なのは、あなたの手首や肘に伝わってくる「面圧」という名の生きた情報です。
もし今、ボールが飛ばない、肘が痛いと感じているなら、それは技術のせいではなく、面圧があなたのスイングに対して高すぎるだけかもしれません。まずはヨネックス ポリツアープロのような扱いやすいポリを、いつもより4ポンド下げて張ってみることから始めてみてください。きっと、今まで見えてこなかった「ボールを操る感覚」に出会えるはずです。


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