「パキン」という乾いた音と共に、愛用していたラケットに走った一本の筋。テニスやバドミントンを嗜む人なら誰もが一度は絶望する瞬間です。特に、買って間もないモデルや、今はもう手に入らない廃盤品にヒビが入った時の喪失感は計り知れません。
しかし、そのヒビ、実はまだ「寿命」ではないかもしれません。
今回は、自力での応急処置から専門業者による本格的なカーボン溶着まで、私自身の苦い失敗談を交えながら、SEOや損得勘定を超えた「ラケット再生のリアル」をお届けします。
1. そのヒビは「重症」か?現場でできる簡易診断
ラケットに違和感を覚えたら、まずは落ち着いて状態を観察しましょう。
- 塗装剥げ(チップ): フレームの角にぶつけて表面の塗装だけが剥げている状態。強度的には問題ありません。マニキュアや車用タッチアップペンで保護すれば十分です。
- ヘアラインクラック: 髪の毛ほどの細いヒビ。塗装のみか、内部のカーボンまで及んでいるかの判断が難しいラインです。
- 陥没・異音: ガットを張っている箇所が沈み込んでいたり、振ると「カラカラ」と音がしたりする場合は、内部構造が破壊されています。
私の場合、最初は「塗装のヒビだろう」と高を括ってプレーを続けた結果、スマッシュの瞬間にラケットがV字に折れ、ガットのテンションで自分の方にフレームが跳ね返ってくるという恐怖を味わいました。少しでも「深い」と感じたら、即座に使用を中止するのが鉄則です。
2. 【DIY体験記】自力でヒビを直してみた結果
「安く済ませたい」という一心で、私はホームセンターへ走り、エポキシ樹脂接着剤とカーボンクロスを揃えて自力修理に挑んだことがあります。
補修の手順
実感したメリットとデメリット
見た目は「それっぽく」直りました。しかし、実際に打ってみると驚くほど感覚が違います。修理箇所だけがガチガチに硬くなり、ラケット本来の「しなり」が消えてしまったのです。また、パッチを当てた分だけ重量バランスが崩れ、数時間のプレーで手首に違和感を覚えるようになりました。
結論: DIY修理はあくまで「遊び用のサブ機」や「観賞用」への応急処置。本気で競技を続けるなら、自己流の補修はかえって体への負担(テニス肘など)を招くリスクがあります。
3. プロの「カーボン溶着」はどこまで復元できるのか
最近では、カーボンの積層技術を駆使して、折れたフレームを接合する専門の修理業者が存在します。
プロに依頼する最大のメリットは、**「ガットの強打に耐えうる強度」と「ミリ単位のバランス調整」**です。専用の熱処理炉で硬化させるため、DIYとは比較にならない剛性が得られます。
費用は5,000円〜10,000円程度が相場ですが、最新のテニスラケットが3万円以上することを考えれば、お気に入りの一本を救う投資としては決して高くありません。私自身、修理に出したラケットを再度25ポンドで張り上げましたが、数ヶ月経ってもヒビが再発することなく現役で活躍しています。
4. 買い替えるべき「引き際」のサイン
修理を愛する私でも、「これは買い替え時だ」と判断する基準が3つあります。
- フレーム全体がヘタっている: 長年の使用でカーボン自体が腰抜けの状態になっている場合、一箇所を直しても次々に別の場所が折れます。
- グロメット穴が激しく陥没: ストリングを通す穴自体が潰れていると、修理コストが跳ね上がり、打球感の再現も難しくなります。
- モチベーションの問題: 「また折れるかも」と不安を抱えながら振るスイングは、パフォーマンスを著しく下げます。新しいバドミントンラケットを手にした時の高揚感も、上達には必要な要素です。
5. 大切なラケットを長持ちさせるために
ヒビは不慮の事故(接触)だけでなく、日頃の扱いでも蓄積されます。
- 夏場の車内放置を避ける(熱で樹脂が劣化します)。
- ガットが切れたら放置せず、すぐにハサミで切る(フレームへの不均一なテンションを避ける)。
- 定期的にオーバーグリップを巻き替え、汗による内部の腐食を防ぐ。
まとめ
ラケットのヒビは、必ずしもそのラケットとの別れを意味しません。
軽微なものなら瞬間接着剤での補強で凌げるかもしれませんし、大切な一本ならプロに託して蘇らせる道もあります。
大切なのは、「修理してでも使いたい理由」がどこにあるかを見極めること。あなたのプレースタイルと、ラケットへの愛着に最適な選択をしてください。


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