「ラケットを買ったけれど、ガットは何ポンドで張ればいいんだろう?」
テニスやバドミントンを始めたばかりの頃、誰もが一度はぶつかる壁がこの「ポンド数(テンション)」の悩みです。ショップの店員さんに「標準で」と言われるがままに張っている方も多いかもしれませんが、実はポンド数ひとつで、そのラケットは「魔法の杖」にもなれば「ただの木の板」にもなり得ます。
今回は、私自身が数々の失敗を経て辿り着いた「後悔しないポンド数の選び方」を、生々しい打球感の体験談とともにお伝えします。
ポンド数を変えると世界が変わる?実体験から分かった「感覚」の正体
ポンド数とは、ガットを引っ張る強さのこと。たった数ポンドの差ですが、コートに立った時の安心感は劇的に変わります。
高く張った時の体験:55ポンド以上の「研ぎ澄まされた世界」
私がかつて、憧れのプロ選手と同じ58ポンドで張った時のことです。打った瞬間の感触は、まさに「板」。ボールがガットに触れている時間が極端に短く、自分のスイングスピードがそのままボールの威力に直結するようなシビアさがありました。
- メリット: 面がブレないため、狙ったライン際にボールが吸い込まれるようなコントロール性能を感じました。
- デメリット: 恐ろしいほど飛びません。中途半端なスイングをすると、ボールはネットに突き刺さります。さらに、芯を外した時の手首への衝撃は凄まじく、一ヶ月後には軽いテニス肘になってしまいました。
低く張った時の体験:40ポンド前後の「包容力ある世界」
怪我をきっかけに、思い切って45ポンドまで落とした時は衝撃的でした。打球感は非常に柔らかく、まるでラケットがボールを一度ギュッと掴んでから、トランポリンのように放り出してくれる感覚です。
- メリット: 驚くほど楽にボールが飛びます。守備に回らされた時、ボレーを当てるだけの時、この「たわみ」が助けてくれました。
- デメリット: 強く叩きにいくと、ボールが予想以上に浮いてしまい、アウトが増えました。自分の意思以上に「飛んでいってしまう」怖さがあります。
失敗しない「適正ポンド数」を見極める3つの基準
自分の今のプレースタイルに合ったポンド数を見つけるために、以下のステップを参考にしてみてください。
1. レベルとパワーで選ぶ
まずは自分のスイングが「ボールを飛ばす力」を持っているかを確認しましょう。
- 初心者・初級者: 45〜48ポンド。まずはラケットの反発力を借りて、深いボールを打つ楽しさを知るべきです。
- 中級〜上級者: 50ポンド以上。スイングが速くなり、ボールが飛びすぎてしまう段階で初めてポンド数を上げて「制御」をかけます。
2. ラケットの特性に合わせる
現在主流のピュアドライブのような、ラケット自体にパワーがあるモデル(黄金スペック)の場合、48〜52ポンドあたりが最もバランスが取りやすいでしょう。
3. 季節を考慮する【意外な落とし穴】
ガットは温度変化に敏感です。
- 夏場: 熱でガットが伸びやすく、ボールもよく飛ぶため、通常より+2ポンドほど強めに張るのがセオリーです。
- 冬場: ガットが硬くなり、空気抵抗でボールも飛ばなくなるため、−2ポンドほど下げて調整すると、夏と同じ感覚でプレーできます。
迷ったらここをチェック!微調整のサイン
「今の設定が合っているかわからない」という方は、直近のミスショットの傾向を思い出してください。
- 「最近、ネットにかかることが多い」「腕が疲れやすい」→ ポンド数が高すぎる可能性があります。2〜3ポンド下げて、楽に飛ばせる設定を試しましょう。
- 「フルスイングするとバックアウトする」「ボレーが浮く」→ ポンド数が低すぎるか、ガットが伸びきっています。2〜3ポンド上げて、抑えを効かせましょう。
最後に:ポンド数はあなたの進化に合わせて「育てる」もの
「高いポンド数で張っている=上手い」というわけではありません。現代のテニスでは、プロスタッフのようなクラシックなモデルにあえて低めのポンド数で張り、ホールド感を高めてエグい回転をかけるプレーヤーも増えています。
まずは標準的な数値からスタートし、少しずつ自分だけの「気持ちいい感触」を探してみてください。ガットを張り替えた直後、コートで最初の一球を打つ瞬間のワクワク感。それを追求することこそが、上達への一番の近道です。
次の張り替えの際は、ぜひ勇気を持って「いつもと2ポンド変えてみてください」とショップのスタッフに伝えてみてください。その一言が、あなたのテニスを劇的に変えるかもしれません。
次回の張り替え時に、今回紹介した感覚の調整を試してみませんか?


コメント