かつて、ソフトテニス界で一世を風靡した伝説のラケットがあります。それがミズノの「Xyst(ジスト)」シリーズです。今や店頭で新品を見かけることはほとんどありませんが、いまだに中古市場では根強い人気を誇り、ベテランプレーヤーから「あの打感が忘れられない」という声が絶えません。
なぜこれほどまでに、多くのプレーヤーが「Xyst」に魅了され続けているのか。今回は、私自身のコートでの実体験と、歴代モデルの特徴を深掘りしながら、現代のラケット選びに活かせるヒントを解説します。
Xystシリーズが伝説となった「3つの特徴」
1. 弾きと食いつきの黄金比
Xystを語る上で欠かせないのが、独自の「ソリッドカーボン」が可能にした唯一無二の打感です。現代のラケットに多い「ただ弾くだけ」の感覚とは異なり、インパクトの瞬間にボールを一瞬だけ自分の意志で捕らえ、そこから爆発的に弾き出す。この絶妙なタメが、コースの打ち分けを容易にしました。
2. 前衛・後衛に特化したフレーム設計
Xystは、プレーヤーのプレースタイルに対して非常に正直です。前衛用はボレーの瞬発力を極限まで高め、後衛用はベースラインからの深いドライブに特化しています。この専門性の高さが、競技志向のプレーヤーにとって「これしかない」と思わせる信頼感に繋がっていました。
3. デザインの美学
赤と黒、あるいは白と青といった、無駄を削ぎ落としたシャープなグラフィック。コートに立つだけで強くなったような錯覚を覚える、あのストイックな見た目も「Xyst」が愛された大きな理由です。
【実録】歴代人気モデルの「打感」とリアルな評価
ここでは、実際に私がコートで感じた感触や、仲間のプレーヤーたちの声を元に、主要モデルを振り返ります。
Xyst TS / Xyst TT(前衛向け)
「パチーン!」という金属的な高い打球音が特徴。とにかくボレーの反応速度が一段階上がる感覚があります。実際に使ってみて驚いたのは、ローボレーの拾いやすさです。スイートスポットが狭いと言われがちですが、芯を食った時の爽快感は、今のSCUDシリーズとはまた違った鋭さがありました。
Xyst ZZ / Xyst Z-01(後衛向け)
後衛プレーヤーにとっての「聖杯」とも言えるモデル。特にXyst ZZのしなりは強烈で、フルスイングした時にボールが一度ググッと潰れ、そこから重いシュートボールが伸びていく感覚は病みつきになります。「ドライブで相手を押し込みたいならこれ」と断言できる一本でした。
Xyst T1 / Xyst S1(スタンダード)
非常にバランスが良く、中級者から上級者まで幅広くカバーしたモデルです。どんな場面でもクセがなく、自分の技術がそのままボールに乗る感覚。悪く言えば「助けてくれない」ラケットですが、調子のバロメーターとして長年愛用する人が多かったのも頷けます。
Xystから乗り換えるなら?現行モデルとの比較
「Xystが折れてしまった、あるいは劣化してしまったけれど、あの感覚は捨てがたい」という方は多いはず。現在のミズノのラインナップで選ぶなら、以下の方向性がおすすめです。
- 弾きを重視するなら: SCUD(スカッド)やDIOS(ディオス)シリーズ。ジストの攻撃的なDNAを現代のパワーテニス向けにブラッシュアップしています。
- 最新のスピードを求めるなら: ACROSPEED(アクロスピード)。Xystユーザーが最も違和感なく移行できる「操作性の良さ」と「ボールスピード」を両立しています。
中古でXystを購入する際の注意点
今からXystを手に取るなら、中古市場がメインとなります。しかし、発売から年月が経っているため注意が必要です。
- 内部のヘタリ: 外見が綺麗でも、長年の使用でカーボンが「腰抜け」状態になっていることがあります。
- グロメットの劣化: 替えのパーツが生産終了している場合が多いため、グロメットが割れていないか、陥没していないかは必ずチェックしましょう。
まとめ:あなたのテニス人生を支えた一本
Xystは、単なる道具としてのラケットを超え、多くのプレーヤーにとって「戦友」のような存在でした。あの独特の打球感や操作性は、現代の最新モデルの中にも確実に受け継がれています。
かつての名器を懐かしむのも、その進化系を手にするのも、どちらもソフトテニスの醍醐味です。あなたのプレースタイルに最適な一本を見つけ、再びコートで最高のショットを放ってください。


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