卓球界には「名作」と呼ばれるラケットがいくつか存在しますが、その中でもバタフライが生んだビスカリアは別格の存在です。かつては廃盤の憂き目に遭いながら、世界のトップ選手たちがこぞって使い続けたことで復活を遂げたという、まさに伝説の1本。
しかし、いざ自分が使うとなると「上級者向けで扱いにくいのでは?」「アウターALC(アリレート カーボン)は弾みすぎるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。そこで今回は、実際にビスカリアを使い込んで見えてきた、カタログスペックだけでは分からない「本当の使用感」を忖度なしでお伝えします。
1. 手に取った瞬間にわかる「完成されたバランス」
ビスカリアを握ってまず感じるのは、そのグリップの絶妙な安心感です。現行の多くのラケットと比較して、わずかに太めに設計されたFL(フレア)グリップは、手のひら全体でラケットを支える感覚を強めてくれます。
この「握りの安定感」が、実戦での思い切った振り抜きを支えています。特にバックハンドを振る際、グリップが細いと面がブレやすいのですが、ビスカリアはガシッと固定されるため、驚くほど強気に攻めることができるのです。
2. 【体験談】アウターALCの「硬さ」と「球持ち」の同居
アウターカーボンといえば「弾きが良すぎて球がすぐ離れる」というイメージが先行しがちですが、ビスカリアは違います。
実際に打ってみると、インパクトの瞬間にわずかに「食い込む」感覚があることに気づくはずです。この食い込みがあるおかげで、強打した時でもボールの行方をコントロールできる安心感があります。
- カウンターの衝撃: 相手のドライブに対して、面を被せて合わせるだけで、ビスカリア特有の減衰特性が衝撃を吸収し、鋭い弾道でコートに突き刺さります。
- 中陣からの伸び: 下がって打たされた際も、ラケットの反発力が助けてくれるため、飛距離不足に悩むことがありません。
- 台上技術: 意外かもしれませんが、ツッツキやストップといった繊細な技術もやりやすい。これは、アリレート カーボンの振動減衰が「手に伝わる情報を整理してくれる」からだと感じます。
3. ビスカリアに合わせるべき「神ラバー」の選択
このラケットのポテンシャルを最大限に引き出すなら、ラバー選びは妥協できません。
まず、王道中の王道はテナジー05です。ラケットの食い込みとラバーの回転力が合わさり、現代卓球に必要な要素がすべて揃います。
もし、より高い威力と安定のバランスを求めるなら、フォア面にディグニクス09C、バック面にディグニクス05を貼る組み合わせがおすすめです。ディグニクス09Cのような粘着テンションラバーは、ビスカリアの「掴んで飛ばす」特性と非常に相性が良く、ループドライブの回転量は凄まじいものになります。
「まだそこまでの威力は扱いきれない」という中級者の方は、ロゼナから始めてみるのも手です。ラケット自体の性能が高いため、ラバーを少し落としても十分すぎるほどの攻撃力を維持できます。
4. ビスカリア選びで後悔しないために
ビスカリアには、購入前に知っておくべき「個体差」という課題があります。
特に重量です。平均重量は82g〜90g前後と幅が広く、90gを超える個体に重めのラバーを両面貼ってしまうと、総重量が190gを超えて振り遅れの原因になります。「自分の筋力で振り切れる重さ」を意識して、可能であればショップで在庫の重さを確認することをおすすめします。
また、ティモボルALCやファンジェンドンALCといった近親モデルとの比較も重要です。ティモボルALCの方がブレードが薄く、より直線的でシャープな打球感になります。より「しなり」と「重量感のある重い球」を求めるなら、間違いなくビスカリアが最適解です。
5. 結論:あなたが手にするのは「自信」である
ビスカリアは単なる道具ではありません。世界中のトップランカーたちが「これを使っていれば間違いない」と信頼を寄せる、一種のベンチマークです。
確かに、初心者がいきなり使いこなすにはハードルが高いかもしれません。しかし、自分の卓球をもう一段上のステージに引き上げたい、あるいは「ラケットのせいでミスをした」という言い訳を捨てて純粋に技術を磨きたいと考えているなら、これ以上のパートナーはいません。
一度この打球感を味わってしまうと、他のラケットに戻るのが難しくなる——。そんな魔力を持った1本、ぜひあなたの手で確かめてみてください。


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