テニスを続けていると必ず直面する「ポリにするか、ナイロンにするか」という悩み。私もかつては「プロが使っているから」という憧れだけでルキシロン アルパワーを張り、数回練習しただけで腕を痛めた苦い経験があります。
ガット選びは、ラケット選び以上にプレーの質を左右します。今回は、私が10年間で数十種類のガットを試し、身をもって学んだ「素材ごとのリアルな使用感」と「失敗しない選び方」を本音でお伝えします。
1. ポリ(ポリエステル)は「魔法の杖」か「諸刃の剣」か
ポリエステルガットの最大の魅力は、なんといっても「スピン」と「圧倒的なコントロール性能」です。
実際に使って感じたポリの感触
私がヨネックス ポリツアープロを初めて使った時、一番驚いたのは「振れば振るほどボールがコートに収まる」感覚でした。ナイロンならバックアウトしていたようなスイングでも、強烈なスナップバックのおかげでベースライン際でグンと落ちるのです。
しかし、代償もあります。それは「振動」と「テンション維持」の低さです。
ポリは素材自体が硬いため、スイートスポットを外した時の衝撃はかなりのもの。私は冬場の練習で、芯を外すたびに手首に響く痺れに悩まされました。また、張りたては最高ですが、2週間もすれば「板」を振っているような感覚になり、ボールが飛ばなくなります。
ポリが向いている人:
- スイングスピードが速く、自分からガンガン打っていきたい
- 2〜3週間でガットが切れる、あるいは定期的に張り替える余裕がある
- バボラ ピュアドライブのようなパワーラケットの飛びを抑えたい
2. ナイロンは「優しさと飛び」を両立する万能選手
一方のナイロンガット(モノフィラメントやマルチフィラメント)は、多くの一般プレーヤーにとっての「正解」であることが多いです。
ナイロンマルチを使い続けて分かったこと
肘を痛めてからテクニファイバー X-ONE バイフェイズに切り替えた時、その打球感の柔らかさに感動しました。まるでボールを一度ラケットが包み込んでから放り出すような、マイルドな感覚。ボレーなどのタッチショットも、ポリを使っていた時より指先に感覚が伝わりやすくなりました。
ただ、耐久性は心許ないです。少し回転をかけるような打ち方をすると、数時間でガットがささくれ立ち、あっけなく切れてしまいます。「あ、もうすぐ切れるな」という予兆(毛羽立ち)が見えるのは、ある意味親切かもしれませんが、コストパフォーマンスを気にする人には辛いポイントです。
ナイロンが向いている人:
- 肘や肩に不安がある、またはタッチの感覚を大切にしたい
- 1ヶ月以上ガットが切れない
- 非力でも楽にボールを飛ばしたい
3. 私が辿り着いた「ハイブリッド」という折衷案
ポリの性能は捨てがたいけれど、体への負担も怖い。そんな私が最終的に行き着いたのが「ハイブリッド張り」です。
メイン(縦)にバボラ ブラスト、クロス(横)にウィルソン NXTを組み合わせることで、ポリの回転性能を維持しつつ、ナイロンの柔らかさを手に入れることができました。
実際にこのセッティングに変えてから、強打した時の安心感を保ちつつ、3時間の練習後も翌日に腕の疲れが残らなくなりました。「どちらか一方に決められない」という方は、まずはこの組み合わせから試してみるのが一番の近道だと確信しています。
まとめ:あなたの「今」に合わせた選択を
「ポリ=上級者」「ナイロン=初心者」という単純な図式ではありません。
- ガシガシ振って、スピンで圧倒したいならポリ。
- 快適に、長くテニスを楽しみたいならナイロン。
まずは自分のスイングスピードと、テニスの後に「どこか痛いところはないか」という体の声に耳を傾けてみてください。もし今のガットに違和感があるなら、思い切って逆の素材を試してみる。その一歩が、あなたのテニスを劇的に変えるきっかけになるはずです。


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