新品のラケットを手にした時のあの高揚感、誰しも経験があるはずです。ピカピカのフレーム、そしてグリップに丁寧に巻かれた透明なビニール。このビニールを剥がすべきか、それとも「汚したくないから」と付けたままにしておくべきか、迷ったことはありませんか?
結論から言えば、そのビニールは今すぐ、躊躇なく剥ぎ取るべきです。
多くのテニスプレイヤーが経験してきた「ビニールの罠」と、剥がした後に広がる快適なプレー体験について、深掘りしていきます。
なぜ「ビニールを付けたまま」は上達の妨げになるのか?
1. 手のひらとラケットが「喧嘩」を始める
初めてラケットを握った際、ビニールの上から握ると一見ツルツルして綺麗に見えます。しかし、いざコートに立ってボールを打ってみてください。数分もすれば手のひらに汗をかき始め、ビニールの表面は驚くほど滑りやすくなります。
実際にあった体験談として、中学の部活動に入りたての選手がビニールを剥がさずに練習に参加したところ、強打した瞬間にラケットが手からすり抜け、コートの向こう側まで飛んでいってしまったというケースがあります。これは周囲にとって危険なだけでなく、ラケットそのものを破損させるリスクにも繋がります。
2. マメと痛み、そして過度な緊張
ビニールがあることで滑りやすくなると、人間は無意識に「落とさないように」とグリップを強く握りすぎてしまいます。
- 必要以上に力むことで、手のひらに摩擦が起き、痛い「マメ」ができる原因になります。
- 腕全体に力が入るため、本来のしなやかなスイングができず、打球感も損なわれてしまいます。
「ラケットが重く感じる」「肘が疲れやすい」という悩みを持つ初心者の原因が、実はこの「ビニールによる力み」だったということも珍しくありません。
剥がした後に訪れる「本物のグリップ」の感触
ビニールをペリペリと剥がし、中のリプレイスメントグリップ(元グリップ)が姿を現したとき、ようやくそのラケットはあなたの体の一部になる準備が整います。
体験者が語る、剥がした後の劇的変化
あるベテランプレイヤーはこう語ります。「ビニールを剥がして、初めて手のひらに吸い付くような感覚を得た。指の関節ひとつひとつがグリップの角(八角形)を感じ取れるようになり、ボレーの繊細なタッチが劇的に改善した」と。
この「角を感じる」という感覚こそ、テニスにおいて非常に重要です。ビニールが間にあると、この繊細な情報が遮断されてしまうのです。
ビニールを剥がした後の必須メンテナンス
ビニールを剥き出しのまま使うのも良いですが、さらに快適なテニスライフを送るためのステップがあります。
オーバーグリップを巻くという選択
多くのプレイヤーは、元グリップの上にヨネックス ウェットスーパーグリップなどのオーバーグリップを巻きます。
- 吸汗性の向上: 汗を吸い取り、常にドライな状態を保てます。
- カスタマイズ性: 自分の好みの厚みや質感(ウェットかドライか)に変更できます。
- 清潔さ: 汚れたら安価に交換できるため、ラケットを常にベストな状態に保てます。
特に、手のひらのフィット感を重視するならウィルソン プロオーバーグリップなども非常に人気があり、プロ選手のような安定したホールド感を手に入れることができます。
放置厳禁!ビニールを付けっぱなしにする最大のデメリット
「汚したくない」という親心(ラケット愛)が、逆にラケットを傷つけることもあります。ビニールを長期間付けたままにしておくと、中の湿気が逃げ場を失い、グリップ内部で蒸れが発生します。
これにより、中のクッション材が加水分解を起こし、いざ剥がそうとした時には中の素材がドロドロに溶けてビニールと一体化していた……という悲惨な体験談も少なくありません。中古で売ることを考えて保護しているつもりでも、これでは逆に価値を下げてしまいます。
まとめ:そのビニールは「梱包材」であって「装備」ではない
ラケットのグリップに付いているビニールは、工場からあなたの手元に届くまでの汚れを防ぐための「パッケージ」に過ぎません。新品の靴を買って、タグを付けたまま、あるいは箱に入れたまま走る人はいないはずです。
もし今、あなたのバッグの中にビニールを被ったままのラケットがあるなら、今すぐ剥がしてあげてください。そして、自分に合ったグリップテープを巻いてコートへ向かいましょう。その瞬間、あなたのスイングはもっと自由に、もっと正確になるはずです。


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