バドミントンを愛するプレイヤーなら、一度はその名を耳にしたことがあるはずです。ギネス世界記録を塗り替えた「世界最速のラケット」として君臨するヨネックス ナノレイ Z-スピード。しかし、このラケットほど「使い手を選ぶ」と言われるモデルも珍しいでしょう。
今回は、実際にコートで数年間このラケットを振り続けてきた私の体験をもとに、スペック表だけでは分からない、NZの真の魅力を深掘りしていきます。
「点」で捉える快感。コンパクトフレームの衝撃
初めてナノレイ Z-スピードを手にしたとき、誰もが驚くのがその「フレームの小ささ」です。近年の主流であるアイソメトリック形状をさらに絞り込んだコンパクトフレームは、一言で言えば「極小の的」です。
練習初日、私は空振りを連発しました。通常のラケットならスイートスポットで捉えられるはずのショットが、フレームの角に当たってあらぬ方向へ飛んでいく。「これ、本当に使いこなせるのか?」というのが正直な第一印象でした。
しかし、3日ほど打ち込み、完璧に芯を捉えた瞬間、すべてが変わりました。空気抵抗を一切感じさせない異次元の振り抜き。そして、シャトルが面に吸い付き、一気に弾き出される感覚。まさに「木刀」で硬い球を叩くような、ダイレクトかつ強烈な打球感は、他のどのラケットでも味わえない中毒性があります。
565km/hの血統。スマッシュが「突き抜ける」感覚
ナノレイ Z-スピードの真骨頂は、やはり攻撃力にあります。ホリゾンタル-Aコンセプトという、ガットを水平方向に広げる独自の設計のおかげで、振り抜きの速さがそのままシャトルの初速に直結します。
実際にゲームで使用していると、スマッシュを打った際の「音」がまず違います。体育館の端まで響き渡るような、高い金属音に近い乾いた打球音。相手がレシーブの構えを完了する前に、シャトルがコートを突き抜けていく爽快感は格別です。
ただし、代償もあります。シャフトが非常に硬いため、身体へのフィードバックはかなりシビアです。疲労が溜まってくると、この「硬さ」が腕にズシリと響きます。楽に飛ばせるラケットではなく、自分のパワーを100%効率よくシャトルに伝えるための、純粋な武器なのだと痛感させられます。
ダブルスにおける「NZ」の意外な操作性
「ハードヒッター向け」というイメージが強いナノレイ Z-スピードですが、実はダブルスの前陣・中陣でもその威力を発揮します。
フレームが小さく空気抵抗が少ないことは、そのまま「取り回しの良さ」に繋がります。ドライブの応酬になった際、コンマ数秒早くラケットをセットできる。このわずかな差が、ダブルスのスピード勝負では決定打になります。
コンパクトなスイングでも鋭く弾けるため、追い込まれた状況からのロブや、タッチの速いネットプレーでも「NZ」ならではの恩恵を感じることができました。
まとめ:あなたは「NZ」を飼い慣らせるか?
ヨネックス ナノレイ Z-スピードは、決して万人に勧めるラケットではありません。スイートスポットは狭く、ミスには容赦なく、身体への負担も大きい。
しかし、自分の技術を磨き、この「じゃじゃ馬」を飼い慣らした先に待っているのは、他のラケットでは決して到達できない攻撃の極致です。
- 圧倒的な振り抜きを求めている。
- 自分の力をダイレクトにシャトルに伝えたい。
- 「世界最速」の称号にふさわしいショットを打ちたい。
もしあなたがそう願うなら、迷わずナノレイ Z-スピードを手に取ってみてください。この「木刀」が、あなたのバドミントン人生を塗り替える最高の一本になるはずです。


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