テニスプレイヤーにとって、ラケットとの唯一の接点であるグリップは、ショットの精度を左右する生命線です。「新しいテープを買ったのに、自分で巻くとシワだらけになる」「重なりがバラバラで握り心地が悪い」といった悩みは、初心者から中級者まで多くの人が通る道。しかし、いくつかの「物理的なコツ」さえ掴めば、誰でもプロのストリンガーのような美しい仕上がりを実現できます。
今回は、私が数千本以上のラケットを扱ってきた経験から導き出した、失敗しないグリップテープの巻き方を徹底解説します。
1. 巻く前の「下準備」が仕上がりを左右する
いきなり巻き始めるのは禁物です。まずは以下のポイントをチェックしましょう。
- 保護フィルムの剥がし忘れに注意: ヨネックス ウェットスーパーグリップなどの多くのオーバーグリップには、表面に薄い透明フィルムが貼られています。これを剥がさずに巻くと、プレー中に滑って大事故に繋がります。
- 右利きと左利きで方向が違う: * 右利き: グリップエンド側から見て「時計回り」に巻きます。
- 左利き: 「反時計回り」に巻きます。
- 体験談: 逆方向に巻いてしまうと、スイング中に親指の付け根でテープの端を押し上げる形になり、たった1時間の練習でテープがめくれてボロボロになってしまいます。
2. 実践!プロ級に仕上げる5ステップ
ステップ1:スタートは「面」に合わせる
テープの端(斜めにカットされ、裏面に小さな両面テープがついている部分)を、グリップエンドの平らな面にピタッと合わせます。ここで角度を急にしすぎないのが、シワを作らない第一歩です。
ステップ2:最初の1周に全神経を集中させる
ここは「重なりを最小限」にしつつ、一番強く引っ張って固定します。最初の1周が緩いと、後から全体がズレてきます。
ステップ3:ラケットを「回して」巻いていく
右利きの場合、右手でテープを引っ張り、左手でラケット本体をクルクルと回します。
- 重なり幅の目安: 3mm〜5mm程度。
- 体験談: 私は手の感覚を大事にしたいため、重なりを3mmと薄めにしています。逆に、手が大きくてグリップを太くしたい方は、1/3程度重ねるようにするとクッション性が増し、ホールド感がアップします。
ステップ4:最後はハサミで「斜め」に切る
ここが素人とプロの差が出るポイントです。巻き終わりをそのまま真っ直ぐ切るのではなく、グリップの断面に対して斜め(三角形になるよう)にカットします。これにより、巻き終わりの段差がなくなり、エンドテープを貼った時に非常に美しく収まります。
ステップ5:エンドテープは「引っ張りながら」
付属の黒や白のテープは、少し伸ばしながら巻きつけるのがコツです。ゴムのように伸びる素材が多いため、テンションをかけることで粘着力に頼らずとも剥がれにくくなります。
3. 体験して分かった「シワ」と「違和感」を消すコツ
長年グリップを巻き直してきて気づいた、微細なテクニックを共有します。
- 「引っ張る力」を一定にしない: カーブが急なグリップエンド付近は強めに、ストレートな中間部分は適度に。特にウィルソン プロオーバーグリップのような薄手のタイプは、引っ張りすぎるとクッション性が損なわれるため、中盤は「置くように巻く」感覚がベストです。
- 元グリップ(リプレイスメントグリップ)の清掃:オーバーグリップを剥がした際、元グリップに古いテープのカスが付いていることがあります。これを放置すると、新しいテープを巻いた時に「ボコボコ」とした不快な感触が残ります。ウェットティッシュなどで軽く拭き、乾かしてから巻くだけで、フィット感が劇的に変わります。
- 季節による使い分け:夏場は汗で滑りやすいため、ボウブランド グリップテープのような吸汗性の高いものを選び、冬場は乾燥対策としてしっとりしたウェットタイプを選ぶなど、巻き方だけでなく素材にもこだわると、握力のロスを最小限に抑えられます。
まとめ:グリップ交換は最短の上達法
グリップテープが新しくなるだけで、ラケットのコントロール性は見違えるほど良くなります。1本あたり数百円の投資で「打球感」が劇的に改善されるため、1ヶ月〜2ヶ月に一度、あるいは表面がツルツルしてきたと感じたらすぐに巻き直す習慣をつけましょう。
最初は時間がかかるかもしれませんが、3回も巻けば手が感覚を覚えます。自分だけの「最高の握り心地」を見つけて、テニスコートで最高のパフォーマンスを発揮してください。
次は、自分の手のサイズに合わせた「グリップサイズの調整方法」についても、ぜひ学んでみてください。


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