「昔のようにボールが飛ばない」「試合の後半になると腕が上がらなくなる」――。60代を迎え、そんな違和感を抱えながらテニスを続けていませんか?
かつての「黄金スペック(300g)」を使い続けるのは、まさに今の体力で大型バイクを無理に乗り回そうとするようなもの。60歳からのテニスを一生の趣味にするためには、「頑張るテニス」を卒業し、「ラケットに助けてもらうテニス」へとシフトするのが正解です。
今回は、自身の体力の変化を実感しているシニアプレイヤーに向けて、怪我を防ぎ、再びコートを縦横無尽に駆け回るためのラケット選びを徹底解説します。
60代が実感する「ラケットを変えるべき」3つのサイン
テニス歴が長い方ほど、「道具に頼るのはまだ早い」と考えがちです。しかし、体は正直です。以下のようなサインが出ていたら、それは道具のアップデートが必要な合図です。
- オフセンターの衝撃が腕に響く: 若い頃は気にならなかった「芯を外した時」の微振動。これが蓄積されると、テニス肘や肩の痛みの原因になります。
- ボレーの反応が一歩遅れる: 「あと数センチ届かない」のは足のせいだけではありません。重すぎるラケットは、ネット際での素早いラケットワークを邪魔しています。
- 翌日まで残る重だく感: プレイ後に肘や手首に鈍痛が残るなら、ラケットの重量が筋肉のキャパシティを超えている証拠です。
「300gのラケットを1時間振り続けるのは平気でも、2時間の試合の最後には握力がなくなっていた」という60代男性のエピソードもあります。無理を続ければ、大好きなテニスそのものができなくなってしまいます。
60歳からのラケット選び、3つの新基準
60代からのラケット選びで重視すべきは、ブランドやデザインよりも「スペックの適正化」です。
1. 重さ(Weight):255g〜285gが黄金ゾーン
300gという数字にこだわるのは今日で終わりにしましょう。270g前後の軽量モデルを選ぶことで、スイングスピードが上がり、結果としてボールの威力も増します。また、操作性が上がることでダブルスの並行陣での反応が劇的に良くなります。
2. 面の大きさ(Face Size):105〜120インチ
いわゆる「デカラケ」です。スイートスポットが広がるため、多少打点がズレても相手コートに返ってくれます。この「心の余裕」が、60代のプレイスタイルに安定感をもたらします。
3. フレームの厚みと衝撃吸収
フレームが厚い(26mm以上)モデルは、ラケット自体の反発力が強いため、軽い力でボールが飛んでいきます。これに加えて、各メーカーが誇る最新の振動吸収素材が搭載されているものを選びましょう。
プレイスタイル別:60代におすすめの神ラケット5選
実際に多くのベテランプレイヤーが「これに変えてからテニスが楽しくなった」と口を揃える、信頼の5本を紹介します。
【楽に飛ばしたい派】Prince エンブレム 110・Prince エンブレム 120
「日本一売れているデカラケ」として有名です。圧倒的なパワーがあり、当てるだけで深いボールが返ります。体力の消耗を抑えつつ、相手を圧倒したい方に最適です。
【肘・肩を労わりたい派】YONEX アストレル 105・YONEX アストレル 120
伊達公子氏が開発に携わった名作。衝撃吸収性が極めて高く、打球感が非常に上品です。肘に不安があるけれど、しっかりとコントロールも楽しみたい方に支持されています。
【まだ攻めたい!活動派】Babolat ピュアドライブ ライト
若者向けの人気モデルを軽量化した一本(270g)。軽さは維持しつつも、バボラ特有の弾きの良さは健在。「まだまだスピンをかけて攻めたい」というアクティブな60代にぴったりです。
【ボレーで勝負したい派】DUNLOP LX 1000
面の安定感が抜群で、特にダブルスでのボレー戦で威力を発揮します。相手の強いショットに負けず、面をセットするだけで狙った場所へ運んでくれる安心感があります。
【打感の柔らかさ重視】Wilson クラッシュ 108
「しなるのに安定する」という不思議な打球感が魅力。金属的な硬い響きが苦手な方におすすめです。体への優しさと、ボールを掴んで放す感覚を両立しています。
知らないと損!ガット(ストリング)選びの落とし穴
ラケット本体と同じくらい重要なのがガットです。
- ポリエステルは卒業: 若いプロが使うような硬いポリガットは、60代の腕には負担が大きすぎます。
- ナイロンを低テンションで: 柔らかいナイロンガットを、40〜45ポンド前後で張ってみてください。
- 体験談: 「ラケットを新調した際、以前と同じ50ポンドで張ったら全然飛ばなかった。思い切って42ポンドまで落としたら、驚くほど楽にボールが伸びるようになり、肘の痛みも消えた」という声は非常に多いです。
失敗しないための「試打」のチェックポイント
最後に、購入前の試打で確認すべき2つのポイントをお伝えします。
- 「ボレー」と「ロブ」を重点的に: 気持ちよく振り抜けるフォアハンドだけでなく、反応が問われるボレーや、力の加減が難しいロブでの操作性を確認してください。
- 30分後の感覚を信じる: 最初の5分はどのラケットも良く感じます。30分プレイした後に「まだ軽く振り切れるか」「手首に疲れはないか」を自問自答してみてください。
60歳はテニス人生の「第2の黄金期」の始まりです。道具を賢くアップデートして、怪我なく、優雅に、そして何より楽しくコートに立ち続けましょう。


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