テニスコートで時折見かける、ロゴもメーカー名もない「真っ黒なラケット」。初めて目にした時は「あれは一体どこのラケットなんだろう?」と不思議に思ったものです。
実は、あの「黒塗り」にはテニス界特有の深い事情や、ギアマニアたちの飽くなきこだわりが詰まっています。今回は、プロが黒塗りを使う裏事情から、実際に私が自分のラケットを黒く染め上げたDIY体験記まで、その魅力を深掘りしていきます。
1. なぜ「黒塗り」なのか?3つのミステリアスな理由
テニス界における黒塗りは、大きく分けて3つのパターンが存在します。
新作のテスト(プロトタイプ)
メーカーが新型モデルを発売する数ヶ月前、契約プロに「感触を確かめてもらう」ために渡されるのが通称「謎ラケ」です。デザインが確定する前のテスト段階であるため、情報は一切遮断。コートで打っているだけで「次世代のWilson ウイルソンはどんな性能なんだ?」と話題をさらう、最高のマーケティング手法でもあります。
大人の事情「ペイントジョブ」
プロ選手はメーカーと多額の契約を結んでいますが、実は「中身は10年前の旧モデルなのに、見た目だけ最新モデルに塗っている」ケースが多々あります。また、他社製をどうしても使いたい場合、ロゴを隠すために黒塗りにすることも。トッププロの繊細な感覚は、そう簡単に新しい道具へ移行できないのです。
個人のカスタマイズ
「市販のデザインが派手すぎる」「ロジャー・フェデラーのようなシックなマットブラックにしたい」という熱狂的なファンが、自らの手で塗装を施すケースです。
2. 【体験レビュー】黒塗りラケットを打って感じた「情報の遮断」
以前、メーカーのキャンペーンで当選した黒塗りのプロトタイプを試打する機会がありました。
実際に打ってみて驚いたのは、**「見た目の情報がないだけで、これほどまでに打球感に集中できるのか」**ということです。普段は「このラケットはBabolat バボラのピュアドライブだから飛ぶはずだ」といった先入観に支配されていますが、黒塗りにはそれがありません。
フレームのしなり、ボールがストリングに食いつく感覚、そして腕に伝わる振動。それらすべてがダイレクトに、かつ純粋に脳に届く感覚は、テニスギアを愛する者にとって至高の体験でした。
3. 【DIY実践】自分のラケットを黒塗りにして分かった「失敗の罠」
どうしても自分だけのオリジナルラケットが欲しくなり、使い古したHEAD ヘッドのラケットをマットブラックに塗装したことがあります。その際に学んだ、絶対に外せないステップを共有します。
用意した道具
- 耐水ペーパー セット(研磨用)
- ミッチャクロン マルチ(下地剤)
- シリコンオフ スプレー(脱脂用)
- ウレタンスプレー つや消し黒
実際の作業と失敗談
まず、グロメット(ガットを通すパーツ)を外す作業で挫折しかけました。古いラケットだとプラスチックが硬化しており、無理に外そうとすると割れます。新品のグロメットを事前に確保しておくのが鉄則です。
最大の失敗は「焦り」でした。早く黒くしたい一心でスプレーを一気に吹きかけたところ、塗料が垂れてしまい、表面が波打つ悲惨な状態に。結局、乾燥後にサンドペーパーで削り直す羽目になりました。
教訓: 塗装は「薄く、遠くから、何度も」が基本です。また、塗装後は重量が3〜5gほど増えるため、バランスが変わることも計算に入れておきましょう。
4. 黒塗りラケットで試合に出てもいいの?
結論から言うと、一般の草トーナメントやJTAの試合でも、基本的には問題ありません。ただし、あまりに光沢がありすぎて相手の目に入るような反射をする場合は、審判から注意を受ける可能性があります。
もし自分で塗るなら、視認性も考慮して「つや消し(マット)」仕上げにするのが、見た目の高級感も含めて正解と言えるでしょう。
5. まとめ
テニスラケットの「黒塗り」は、メーカーの期待感、プロのこだわり、そしてアマチュアの遊び心が交差する非常に奥深い文化です。
新作の正体を探るワクワク感を楽しむのも良いですし、スプレー塗料を片手に自分だけの「相棒」を作り上げるのも、テニスの楽しみ方を広げてくれます。
もし今、あなたが自分のラケットのデザインに飽きているなら、思い切って「黒塗り」の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?ただし、売却時の査定はほぼゼロになるので、一生添い遂げる覚悟で!
次の一歩として、あなたのラケットに最適な「マットブラック塗装」の具体的な塗り分け手順や、塗装しても打球感が変わりにくい軽量塗料の選び方を詳しくお調べしましょうか?


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