「テニスのガットなんて、張ってあればどれも同じ」と思っていませんか?もしあなたが、張りたての感覚がすぐに失われると感じていたり、特定のショップで張ると妙に打感が柔らかすぎると感じたりしているなら、それは「ノット(結び目)」に原因があるかもしれません。
テニスラケットの性能を100%引き出すための、隠れた主役であるノットの世界。今回は、数多くのラケットを自ら張り、失敗も経験してきたストリンガーの視点から、その奥深いリアルをお伝えします。
なぜ「結び目」ひとつでテニスが変わるのか
ストリンギングにおいて、ノットは単なる「紐の終わり」ではありません。実は、ラケット全体のテンション(張力)を最後に支える「ダム」のような役割を果たしています。
1. テンション維持の生命線
どれだけ精密なマシンで テニスガット を引っ張っても、最後の結び目で数ミリ緩めば、それだけで2〜3ポンドはテンションが落ちてしまいます。体験上、下手なノットで仕上げられたラケットは、1時間練習しただけで「ボヨン」とした締まりのない打感になりがちです。
2. ラケットフレームへの影響
不適切な結び方は、テニスラケット のグロメット(ガットを通すプラスチックのパーツ)を破壊します。小さすぎる結び目が強い力で引き込まれると、グロメットを突き破ってフレームに直接食い込んでしまうことも。これはラケットの寿命を縮める致命的なミスです。
体験比較!代表的なノットの長所と短所
私が実際に様々な結び方を試してきた中で、特に違いが顕著だった3つのノットを比較します。
パーネルノット(Parnell Knot)
プロのストリンガー界で「最強」と名高いのがこれです。
- 体験談: 初めてパーネルノットを習得して張った時、その緩みの少なさに驚きました。ポリガットのような滑りやすい素材でもガッチリ止まります。結び目がコンパクトで美しく、まさに「玄人の張り」という風格が出ます。
ダブルノット
初心者から中級者まで幅広く使われる安定の結び方です。
- 体験談: パーネルほど複雑ではありませんが、十分な強度があります。太めのナイロンガットを使う際、結び目が大きくなりすぎてグロメットに入らない時は、このダブルノットでバランスを取るのが定石です。
エイトノット(8の字結び)
最も基本的な結び方ですが、実はテニスにはあまり向きません。
- 体験談: セルフストリンギングを始めたばかりの頃によく使っていましたが、強打を繰り返すと結び目がどんどんグロメットに埋まっていき、最終的にパーツを破損させてしまいました。正直、おすすめはしません。
最高の打感を維持する「プロのこだわり」3選
自分で張る人も、ショップにお願いする人も、以下のポイントを意識するだけでラケットの仕上がりが劇的に良くなります。
① 「追いテンション」の魔法
結び目を作る直前の1本は、ノットを作る際の「緩み分」を計算して、設定より10%〜20%ほど強く引っ張るのがコツです。これをしないと、結んだ瞬間にテンションが逃げてしまいます。
② ノット専用工具の活用
指の力だけで結ぼうとすると、どうしても限界があります。スターティングクランプ や ノットプライヤー を使い、テコの原理でしっかりと締め上げることが、長期的なテンション維持に直結します。
③ 怪我を防ぐ末端処理
ガットの端を数ミリ残してカットする際、切り口をフレームの内側に少し倒すように処理します。これは、ボレーの時などに指が触れて切れるのを防ぐため。この「優しさ」があるかどうかで、そのストリンガーの質がわかります。
結論:あなたのラケット、結び目をチェックしてみて
もし手元に自分のラケットがあるなら、今すぐグロメット付近にある4つ(または2つ)の結び目を見てください。そこが緩んで隙間ができていたり、グロメットにめり込んでいたりしませんか?
次にショップへ行くときは、「パーネルノットでお願いします」と一言添えてみるのも良いでしょう。細部までこだわることで、あなたの ヨネックス や バボラ のラケットは、もっと最高のパフォーマンスを発揮してくれるはずです。
ノットは小さな結び目ですが、そこにはテニスへの情熱と技術が凝縮されているのです。
次は、あなたのプレースタイルに合わせた最適なガット選びや、テンション設定の相談に乗ることもできますが、いかがでしょうか?


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