「新しいラケットを買ったけれど、何ポンドで張ればいいのか見当もつかない」
「いつもと同じテンションなのに、冬になったら急に飛ばなくなった気がする」
テニスをしていれば必ず直面するのが、この「テンション迷子」の問題です。ショップの店員さんに「標準は50ポンド前後ですよ」と言われてそのままにしていませんか?実は、テンションひとつであなたのラケットは「魔法の杖」にも「ただの板」にもなり得ます。
今回は、数値上の理論だけではなく、実際にコートでボールを打った時に感じる「生きた感覚」をベースに、あなたにとっての正解を見つけるためのガイドをお届けします。
そもそも「適正テンション」に正解はあるのか?
結論から言うと、万人に共通する正解はありません。ラケットに印字されている「推奨テンション(45-55lbsなど)」は、あくまでメーカーが「この範囲ならラケットの性能が引き出せ、フレームも壊れませんよ」と保証している枠組みに過ぎません。
現代テニスにおいて、迷った時の最初の基準点は**「48〜50ポンド」**です。これを軸にして、自分のスイングや筋力、そして「心地よい」と感じるかどうかで微調整していくのが最も失敗の少ない方法です。
【体験談】テンションを変えると、コートでの景色はどう変わる?
実際にテンションを極端に変えてプレーした際の、感覚的な違いを深掘りしてみましょう。
■ テンションを「高く」した時のリアルな手応え
55ポンド以上の高テンションで張り上げた時、最初に感じるのは**「情報の正確さ」**です。インパクトの瞬間、ボールがどこに当たったのかが指先にダイレクトに伝わります。
- 強打しても怖くない: フルパワーでスイングしても、ガットがボールを余計に弾き飛ばさないため、コート内に収まる安心感が違います。
- ボレーのキレが増す: 面がカチッと安定するため、相手の突き球に対しても面が負けず、狙ったコースへスッと運べる感覚があります。
- ただし、体力は削られる: 「板」を振っているような感覚に近くなるため、調子が悪い日に無理に飛ばそうとすると、肘や手首にズシンと重い振動が残ることもあります。
■ テンションを「低く」した時のリアルな手応え
逆に45ポンド以下、時には40ポンドといった低テンションで張ると、ラケットが**「自動アシストマシン」**に変わります。
- トランポリンのような加速: 軽いスイングでも、ガットが大きくたわんでボールを力強く押し返してくれます。ディフェンスに回された時、ボレーを当てるだけで深く返った時の快感は低テンションならでは。
- 球持ちが長く感じる: ボールがガットに一瞬吸い付くような感覚があり、スピンをかけるための「引っ掛かり」を感じやすくなります。
- コントロールに工夫が必要: 飛びすぎてしまうため、自分から打ち込みたい場面では、ネットのかなり上を通すような高い弾道で打つ技術が求められます。
あなたにぴったりの設定を見極める「3つのチェックポイント」
今のテンションが合っているかどうか、以下の項目で自分のプレーを振り返ってみてください。
- アウトが多いか、ネットが多いかフルスイングした時にバックアウトが止まらないなら「2〜3ポンド上げる」。逆に、一生懸命振っているのにボールが浅くなり、ネットにかかることが多いなら「2〜3ポンド下げる」のが鉄則です。
- ガットの種類は何かナイロンガットを使っているなら50ポンドでちょうど良くても、ポリエステルガットに変える場合は、素材が硬い分、設定を45〜47ポンド程度まで落とさないと「硬すぎて飛ばない」という罠に陥ります。
- 季節による空気の変化夏は気温でガットが伸び、空気も膨張するためボールがよく飛びます。逆に冬はガットもボールも硬くなり、驚くほど飛ばなくなります。筆者の経験では、**「夏は2ポンド上げ、冬は2ポンド下げる」**という季節調整をするだけで、一年中同じ感覚でプレーできるようになります。
失敗しない注文の出し方と「記録」のすすめ
次にガットを張り替える時は、ただ「50ポンドで」と伝えるのではなく、ショップのストリンガーに今の悩みを添えてみてください。
「今50ポンドだけど、もう少し楽に飛ばしたい」
「肘が痛いので、柔らかい打感にしたい」
こうした具体的な要望があれば、プロの視点から「それならガットの種類をテクニファイバー エックスワン バイフェイズのような柔らかいものに変えて、テンションを2ポンド下げましょう」といった、より精度の高い提案がもらえます。
そして、張り替えた後の打球感をぜひスマホのメモに残しておいてください。この「自分だけのデータ」の蓄積こそが、あなたを最高のパフォーマンスへと導く唯一の近道です。
次の週末、コートでボールを打つのが楽しみになる。そんな「自分専用のテンション」をぜひ見つけ出してください。


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