テニスを始めたばかりの方や、新しいラケットへの買い替えを検討している方が必ず直面するのが「重さ」の壁です。カタログには280g、300g、315gと数字が並んでいますが、たった20gの差がコートの上では驚くほど大きな違いとなって現れます。
「周りがみんな300gを使っているから」という理由だけで選んでいませんか?実は、その選択があなたのテニスの成長を妨げているかもしれません。今回は、筆者が実際に様々な重さのラケットを使い込んできた体験をもとに、後悔しない重さの選び方を深掘りします。
【体験から語る】重いラケット vs 軽いラケット、本当の使い心地
スペック上の数値以上に、実際に振ってみて感じる「体感」には大きな差があります。
重いラケット(300g〜)を使い続けたリアルな感想
私がバボラ ピュアドライブのような300gのラケットをメインで使っていた頃、最も感じたのは「打ち負けない安心感」です。
- メリット: 相手の速いサーブや重いストロークに対して、面をセットして当てるだけでボールが勝手に押し返してくれます。ボールの威力(伸び)は格段に上がりました。
- デメリット: 試合が1時間を超える頃、腕に疲労が溜まり、振り遅れが目立ち始めます。特に「あと一歩」で届いたボールをスイングで持ち上げる際、ラケットの重さが足枷になり、ネットにかけてしまう場面が増えました。
軽いラケット(〜285g)に替えてみたリアルな感想
次に、操作性を求めてヨネックス イーゾーン 100Lのような軽量モデルを試しました。
- メリット: とにかく「操作性」が別次元です。ボレーの反応が速くなり、足元の難しいボールも手首の操作で拾えます。スイングスピードが上がるため、スピン量が増えてアウトミスが減りました。
- デメリット: 相手の強打を受けた際、ラケットが手元で弾かれるような感覚があります。自分からしっかりスイングして力を伝えないと、ボールが浅くなってしまい、攻め込まれる機会が増えました。
スペック別:失敗しない重さの目安
一般的に推奨される基準はありますが、プレースタイルによって「正解」は異なります。
| ターゲット | 推奨重量の目安 | 特徴とアドバイス |
| 成人男性(一般) | 300g | いわゆる「黄金スペック」。まずはここを基準に試打を。 |
| 成人男性(初級・ベテラン) | 280g〜290g | 楽に飛ばしたい、または怪我を予防したい方向け。 |
| 成人女性(一般) | 280g | 操作性とパワーのバランスが最も取りやすい重量。 |
| 成人女性(初級・パワー不足) | 260g〜270g | ラケットの「遠心力」を利用して飛ばす厚ラケがおすすめ。 |
知っておくべき「スイングウェイト」と「バランス」の正体
同じ300gでも、振った時に「重い!」と感じるものと「軽い!」と感じるものがあります。これが「バランス」の影響です。
- トップヘビー(先が重い): 軽いラケットに多く、遠心力でボールを飛ばすのを助けてくれます。
- トップライト(手元が重い): 重いラケットに多く、数値ほどの重さを感じさせず、ネットプレーでの操作性に優れます。
私がウィルソン プロスタッフのようなトップライトなモデルを振った際、315gという数値に構えていましたが、実際のスイングでは驚くほどスムーズにヘッドが返ってきたのを覚えています。
【チェックリスト】今のラケットが合っていないサイン
もし以下の項目に当てはまるなら、重さを見直すべきタイミングかもしれません。
重すぎるサイン
- 練習の後半になると、サーブのトスを上げるのが億劫になるほど肩が疲れる。
- 振り遅れてしまい、ボールがすべて右方向(右打ちの場合)に飛んでいく。
- テニス肘や手首の痛みが慢性化している。
軽すぎるサイン
- 相手のボールに押されて、面がグラグラする。
- 自分のスイングスピードに対して、ボールが「スカスカ」と抜けるような感覚がある。
- 強振しても、ボールに重みが乗らず相手に簡単に返される。
迷った時の解決策:試打で見るべき「3つのポイント」
ショップやスクールで試打をする際は、以下の3点を意識してください。
- 30分以上打ち続ける: 最初の5分は誰でも振れます。疲れてきた時に「フォームが崩れないか」を確認してください。
- 「守り」のスイングを試す: 余裕がある時のフルスイングではなく、追い込まれた時に片手で何とか返せる重さかどうか。
- 「迷ったら軽め」を選ぶ: 軽いラケットはキモニー リードテープなどの鉛テープを貼って重く調整できますが、重いものを軽くすることはできません。
まとめ:あなたの「振り切れる最大重量」が正解
テニスラケットの重さ選びに「絶対の正解」はありません。しかし、一つの指針として言えるのは、**「試合の最後まで、自分のスイングをやり抜ける最大の重さ」**を選ぶのが最もパフォーマンスを高めてくれます。
見栄を張って重いモデルを選び、怪我をしてしまっては本末転倒です。自分の筋力、体力、そしてプレースタイルに正直になって、最高の相棒を見つけてください。
次は、あなたが気になるモデルを実際に手に取り、コートでその「体感」を確かめてみる番です。


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