週末のテニスコート。そこは単なるスポーツの場ではなく、個性が交差する社交場でもあります。私が初めて草トーナメントに出場したとき、周囲のベテラン勢が纏う「こなれた」ウェアに圧倒されたのを今でも覚えています。彼らのウェアは、激しい左右の振り回しにも涼しい顔で追従し、何より自信に満ちたオーラを放っていました。
「弘法筆を選ばず」と言いますが、テニスにおいてウェアは「第二の皮膚」です。適切な一着を選ぶことは、パフォーマンス向上だけでなく、テニスという競技を心から楽しむための最短ルートと言えるでしょう。今回は、数多くのブランドを実際に着用し、汗を流してきた経験から、メンズテニスウェアの最適解をナビゲートします。
王道こそ正義。世界を席巻するトップブランド
やはり外せないのが、プロの試合で見ない日はない巨大スポーツブランドです。
Nike(ナイキ)は、常に時代の最先端を行くデザインが魅力。私が特に信頼を置いているのが、Dri-FITテクノロジーを採用したシャツです。真夏のハードコート、滝のように流れる汗を瞬時に逃がし、Tシャツが肌に張り付く不快感をゼロにしてくれます。ラファエル・ナダルのようなアグレッシブなプレーを目指すなら、迷わず手に取るべきブランドです。
一方で、Adidas(アディダス)は洗練されたアーバンな雰囲気が漂います。最近のモデルは環境に配慮したリサイクル素材を使用しながらも、肩周りのカッティングが絶妙で、サーブの動作で一切の突っ掛かりを感じません。
また、日本人の体型を最も深く理解しているのがAsics(アシックス)です。海外ブランドだと袖が長すぎたり、ウエストが余ったりすることがありますが、アシックスのウェアはまるでオーダーメイドのようなフィット感。派手さよりも「質の高さ」を追求する層に根強い人気を誇ります。
機能を極める。テニス特化型の信頼感
「テニス専用」という響きには、競技者にとって抗いがたい魅力があります。
日本が世界に誇るYonex(ヨネックス)は、キシリトールの吸熱効果を利用した「ベリークール」機能が魔法のようです。これを着て真昼のコートに立つと、心なしか周囲より2度ほど涼しく感じます。
フランス発のBabolat(バボラ)は、ラケットとデザインを統一できるのが最大の強み。ピュアドライブやピュアアエロを愛用しているなら、ウェアも合わせることでコート上でのトータルコーディネートが完成し、それだけで「勝てる選手」のような佇まいになります。
品格とスタイルを重んじる大人の選択
テニスはかつて「貴族のスポーツ」と呼ばれていました。その伝統を色濃く反映しているのがLacoste(ラコステ)です。襟付きのポロシャツでコートに立つ姿は、何歳になっても憧れるスタイル。試合後にそのままカフェに立ち寄っても違和感のない、エレガントな仕上がりは唯一無二です。
さらに、近年再評価されているのがFila(フィラ)。80年代のレトロな配色を現代的に解釈したデザインは、若い世代には新鮮に、ベテランには懐かしく映ります。あえて白のショートパンツと合わせて、クラシカルに決めるのが今っぽくて格好いい。
失敗しない選び方の心得
ブランドが決まったら、最後に「素材」と「ルール」を確認しましょう。
綿100%のTシャツは、汗を含むと重くなり、冬場は冷えの原因になります。必ずポリエステル主体の吸汗速乾素材を選んでください。また、公式戦に出場する予定があるなら、ITF(国際テニス連盟)やJTA(日本テニス協会)のロゴ規定をクリアしたモデルかどうかも重要なチェックポイントです。
ウェアを変えると、フットワークが軽くなり、フォアハンドの振り抜きが鋭くなります。何より、お気に入りの一着に袖を通した瞬間の「今日はやれる」という高揚感こそが、テニスの上達を加速させてくれるはずです。


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