「一度履いたら、もう戻れない」
そんな言葉を大袈裟だと思っていた時期が、私にもありました。しかし、アシックスの日本製モデル、いわゆる「JAPAN MADE」を足に届けた瞬間、その概念は音を立てて崩れ去りました。
多くのシューズが海外の巨大工場で機械的に生産される現代において、なぜ私たちはあえて高価な「日本製」を求めるのでしょうか。そこには、単なるスペック数値では測れない、職人の手仕事が生む「官能的なフィット感」が存在するからです。
職人の「手」が介在する、吊り込みの魔力
日本製のアシックスを手に取ると、まずその佇まいの美しさに驚かされます。特に、サッカースパイクの代名詞であるDS LIGHT X-FLYシリーズや、バスケットシューズの伝説JAPAN Lの系譜を継ぐモデルを触ってみてください。
革の質感が明らかに違います。厳選されたカンガルーレザーや、姫路のタンナーが仕上げた極上のレザー。これらを熟練の職人が、一足一足「吊り込み(アッパーを靴型に沿わせる作業)」という工程で微調整しながら成形します。このコンマ数ミリのさじ加減が、履いた瞬間に足が包み込まれるような、あの「吸い付く感覚」を生み出しているのです。
機械任せではどうしても出てしまう「遊び」や「硬さ」が、日本製にはありません。私の実体験として、新品のシューズ特有の「靴擦れ」という概念が、日本製モデルに関してはほぼ無縁になりました。
パフォーマンスを極限まで引き出す「JAPAN」の称号
マラソンランナーの間で「魔法の靴」と呼ばれるMETASPEEDシリーズも、その心臓部は日本の技術の結晶です。カーボンプレートの配置やミッドソールの絶妙な反発力。これらは日本の厳しい品質管理基準があるからこそ、個体差のない完璧な一足として私たちの手元に届きます。
また、オニツカタイガーの「NIPPON MADE」シリーズも忘れてはなりません。製品洗いによる独特のシワ感や、一足ごとに異なる表情。これは単なるスニーカーではなく、もはや「履く工芸品」です。デニムに合わせて街を歩けば、そのシルエットの美しさに、ふと足元を見返してしまうことでしょう。
どこで「本物」を手に入れるべきか
残念ながら、すべてのアシックスが日本製ではありません。むしろ、市場に出回っている多くは海外製です。日本製を探す際は、必ずシュータン(ベロ)の裏側、あるいは中敷きの印字を確認してください。誇らしげに刻まれた「MADE IN JAPAN」の文字こそが、信頼の証です。
確実に入手するなら、直営店や公式オンラインストア、あるいは信頼できる専門店を選ぶのが鉄則です。最近では兵庫県高砂市などの「ふるさと納税」の返礼品としてアシックスのシューズがラインナップされることもあり、賢く手に入れるルートとして注目されています。
結論:自分への投資としての「日本製」
価格だけを見れば、日本製は確かに高いかもしれません。しかし、耐久性の高さ、型崩れのしにくさ、そして何より「歩く・走る」という日常の動作が劇的に楽しくなる体験を考えれば、そのコストパフォーマンスは圧倒的です。
安価な靴を頻繁に買い替えるよりも、職人の魂がこもった一足を、手入れをしながら長く履き続ける。そんな大人な付き合い方ができるのが、アシックス日本製の真の魅力なのです。
あなたの足を、日本の誇りと共に一歩前へ。その違いは、最初の第一歩で必ず理解できるはずです。


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