テニスコートに立つとき、私たちの手にあるラケットは単なる道具ではありません。それは自分の意思をボールに伝える唯一の接点であり、最高の相棒にもなれば、時には上達を阻む壁にもなります。
「テニスラケットの種類が多すぎて、どれを手に取ればいいのか分からない」
そんな悩みを抱える方のために、巷にあふれる数多のモデルを、実際に打った時の「感覚」と「体験」をベースに4つのカテゴリーに整理しました。スペック数値だけでは見えてこない、本当の選び方をお伝えします。
1. 黄金スペック:迷ったらこれ、と言われる納得の理由
現在のテニス界で最も標準的とされるのが「黄金スペック」です。フェイス面積100平方インチ、重量300g前後のモデルを指します。
- 実際の体験感:ラケットがボールを飛ばしてくれる感覚が非常に強く、スイングが未熟な状態でも深いボールが返ります。Babolat Pure Driveなどを初めて使った時、その「弾き」の良さに驚きました。当てるだけでネットを越えてくれる安心感は、プレッシャーのかかる場面で最大の味方になります。
- 注意点:一方で、フルスイングした際にボールが飛びすぎてしまう「アウトの怖さ」も隣り合わせです。スピンをかける技術が身についてくると、このパワーを制御する楽しさに気づけるはずです。
2. プラチナスペック:自分の力をボールに伝える「快感」
「ボックス形状」と呼ばれる薄いフレームが特徴で、プロ選手や上級者に愛用者が多いカテゴリーです。
- 実際の体験感:Wilson Pro StaffやYonex VCORE PROを振ると、黄金スペックにはない「しなり」を感じます。ボールが一度フレームに食いつき、自分の力で押し出すような重厚な打感。これは一度味わうと病みつきになります。
- 注意点:ただし、ラケット自体にパワーがないため、足が止まった状態で打つと面白いようにボールが失速します。「今日は疲れているな」と感じる日には、最も残酷なほど性能が落ちるシビアな種類でもあります。
3. 厚ラケ・オーバーサイズ:ボレーを「壁」にする魔法
フレームが厚く、フェイスが105平方インチ以上の大きなモデルです。
- 実際の体験感:ダブルスをメインにする方にとって、これほど心強い味方はありません。Head Ti.S6のような軽量厚ラケは、ネット際での反応速度が劇的に上がります。相手の速いショットに対しても、面をセットするだけで「パチン」と弾き返してくれる感覚は、まるで魔法のようです。
- 注意点:スイングスピードを上げて振ると、飛びすぎてコントロールを失いやすいため、コンパクトなスイングでコースを突くプレースタイルに向いています。
4. 軽量・操作性重視スペック:成長を加速させる軽やかさ
黄金スペックのバランスを維持しつつ、重量を270g〜285g程度に落としたモデルです。
- 実際の体験感:Yonex EZONE 100Lなどを持ってみると、長時間の練習でも腕が疲れにくいことに気づきます。ジュニアから一般女性、そして「振り切る感覚」を覚えたい初中級者に最適です。ラケットが軽い分、スイングスピードを上げやすく、現代テニスに不可欠なスピン性能を引き出しやすいのが特徴です。
- 注意点:相手の球が極端に重い場合、手元でラケットが弾かれるような「打ち負け」を感じることがあります。その時こそが、次のステップ(重いラケット)へ移行するサインです。
2026年のトレンド:素材の進化が「常識」を変えている
最近のラケット選びで面白いのは、カテゴリーの境界線が消えつつあることです。
例えばWilson Clashシリーズは、薄ラケのような「しなり」を持ちながら、黄金スペック並みの「パワー」を両立させています。
「このスペックだから自分には無理だ」と決めつけるのは、今の時代もったいないかもしれません。
失敗しない選び方:あなたの「ミス」はどっち?
最後に、今の自分に合う種類を見極めるためのシンプルな基準をお伝えします。
- 「ネットミス」が多いなら…ラケットのパワーが足りていません。黄金スペックや厚ラケなど、反発力の強い種類を選んでください。
- 「バックアウト」が多いなら…自分のスイングに対してラケットが飛びすぎているか、スピンが足りていません。少し重めのプラチナスペックや、目が細かいストリングパターンの種類を試すべきです。
テニスラケット全種類を網羅的に知ることは、自分のテニスを客観的に見つめ直すことでもあります。数字の先にある「打感」を信じて、あなただけの最高の相棒を見つけ出してください。
次の一手として:
より具体的な候補を絞り込むために、あなたの「現在のプレースタイル」や「最も解決したい悩み」を教えていただければ、それに合致する具体的な最新モデルをいくつか提案させていただきます。


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