テニスラケットを買った後、誰もが直面するのが「ガット、何張ればいいの?」という問題です。ショップの壁一面に並ぶカラフルな糸。店員さんに勧められるがまま、あるいは「プロが使っているから」という理由でポリエステルを選んでいませんか?
実は、ガットの素材選びを間違えると、テニスの上達を妨げるどころか、最悪の場合は肘や肩を壊す原因にもなります。今回は、私が20年のテニス歴の中で実際にさまざまな素材を試し、失敗を繰り返して辿り着いた「素材別の本当の使い心地」をベースに、後悔しない選び方を解説します。
【一目でわかる】主要3素材の決定的な違い
まずは、一般的な3種類の素材の特徴をまとめました。
| 素材 | 打球感 | 耐久性 | 維持力 | 向いている人 |
| ナイロン | 柔らかい・飛ぶ | 普通 | 普通 | 初心者・女性・ボレーヤー |
| ポリエステル | 硬い・重い | 非常に高い | 低い | 学生・競技者・強打者 |
| ナチュラル | 最高に柔らかい | 低い(湿気に弱い) | 最高 | ベテラン・怪我予防重視 |
1. ナイロン|迷ったらこれ!「腕への優しさ」と「飛び」の万能選手
初心者はもちろん、週1〜2回のスクール生に最もおすすめなのがナイロンです。
実際に使ってみた本音
以前、見栄を張ってポリを張っていた時期がありましたが、冬場の寒い日にボールを打つと、肘に「ビリッ」と響く衝撃がありました。そこでテクニファイバー エックスワンバイフェイズのような高品質なナイロンマルチに変えたところ、驚くほど打球感がマイルドに。
特にボレーでは、当てるだけでボールがしっかり飛んでくれるので、無理に振る必要がなくなりました。非力な方や、テニス後の翌日に腕がだるくなる方は、間違いなくナイロンが正解です。
- メリット: 軽い力でも飛ぶ。衝撃吸収性が高い。
- デメリット: 激しくスピンをかけると数回で切れることがある。
2. ポリエステル|「ガンガン振って叩き込みたい」ハードヒッターの相棒
最近の主流ですが、実は最も「人を選ぶ」素材です。
実際に使ってみた本音
ルキシロン アルパワーを張ってフルスイングした時の快感は格別です。ボールがコートに突き刺さるような強烈なスピンがかかります。「あ、アウトかな?」と思ったボールが、最後にグンと落ちる感覚。
ただし、注意点があります。ポリは「賞味期限」が極端に短いです。切れていなくても、1ヶ月もすれば素材が伸び切って「ただの硬い棒」になります。私は節約のために2ヶ月放置したことがありますが、飛ばないのを無理に飛ばそうとして手首を痛めました。ポリを使うなら、1ヶ月おきにヨネックス ポリツアープロのようなガットをこまめに張り替える覚悟が必要です。
- メリット: 耐久性が抜群。強打してもコートに収まる。
- デメリット: 打球感が硬い。性能劣化が早い。
3. ナチュラル(天然素材)|一度味わうと戻れない「究極のホールド感」
牛の腸(シープガット)を使用した、最高級素材です。
実際に使ってみた本音
「プロが使う高いやつ」というイメージでしたが、実際にバボラ タッチトニックを試して衝撃を受けました。ボールがガットに吸い付くような「もちっとした感覚」は、化学繊維では絶対に再現できません。
特筆すべきは「テンション維持力」です。半年経っても性能がほとんど落ちません。雨に弱いという弱点はありますが、最近はコーティング技術も向上しています。1回の価格は高いですが、「最高の打感で半年使える」と考えれば、実はナイロンを頻繁に張り替えるよりコスパが良いと感じました。
- メリット: 振動吸収が完璧。緩まないので長く使える。
- デメリット: 価格が高い。雨や湿気に極端に弱い。
失敗しないための「素材選び」3つのチェックリスト
自分に何が合うか分からなくなったら、以下のステップで決めてみてください。
- ガットが1ヶ月以内に切れますか?
- NO → ナイロンで十分です。無理にポリを張ると怪我をします。
- YES → ポリエステルを検討しましょう。
- テニスの後に肘や肩に違和感がありますか?
- YES → 今すぐナイロンマルチかナチュラルに変えてください。
- スピンをかけたいですか、フラットで飛ばしたいですか?
- スピン → バボラ ブラストのような多角形ポリ。
- フラット → ゴーセン ミクロスーパーのようなナイロンモノ。
【裏技】ハイブリッドという選択
「ポリの性能は捨てがたいけど、腕にも優しくしたい」という欲張りな方には、縦にポリ、横にナイロンを張る「ハイブリッド」がおすすめです。私はウィルソン チャンピオンズチョイスのような組み合わせで、ポリの制御力とナチュラルの心地よさを両立させています。
まとめ:あなたのテニスを変える「最適素材」の答え
ガットはラケットの「エンジン」です。どんなに高級なラケットを使っても、素材が自分に合っていなければ宝の持ち腐れです。
まずは、自分のスイング強度と、体が発しているサイン(痛みや違和感)に耳を傾けてみてください。もし今のガットに少しでも「硬いな」「飛ばないな」と感じているなら、思い切って素材を変えてみましょう。それだけで、あなたのテニスが劇的に楽しくなるはずです。
次は、あなたのプレースタイルに合わせた具体的な「ポンド数(テンション)」の決め方について、一緒に考えてみませんか?


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