「最近、なぜかボールが飛ばない」「スイートスポットを外したような嫌な振動が指先に残る」……。もしあなたが自分のテニスにそんな違和感を抱いているなら、それは技術の衰えではなく、愛用しているテニスラケットの「歪み」が原因かもしれません。
ラケットは精密なカーボン製品です。ほんの数ミリの変形が、プレーの質を劇的に下げてしまうことがあります。今回は、自分のラケットが寿命なのか、それともまだ戦えるのかを判断するためのチェックリストと、放置するリスクについて実体験を交えて解説します。
なぜテニスラケットは歪んでしまうのか?
ラケットが歪む原因は、派手なクラッシュだけではありません。日常の何気ない習慣が、じわじわとフレームを蝕んでいきます。
- 激しい接触: コートの地面でスライスを打った際や、ダブルスでのペアとの接触。
- ガット張りのミス: 縦糸と横糸のテンションバランスが崩れると、フレームに不均等な圧力がかかり続けます。
- 熱による変質: 実はこれが盲点。夏場の車内にラケットバッグを放置すると、カーボンの成形樹脂が熱で緩み、ガットの張力に負けてフレームが変形します。
【実践】ラケットの歪みをセルフチェックする5つの方法
ショップに持ち込む前に、まずは自分でできる「健康診断」をしてみましょう。
1. 「平らな床」に置いてみる
最も確実な方法です。フローリングやガラス板など、完全に平らな場所にラケットを置きます。フレームの端を指で軽く叩いてみてください。「カタカタ」と音がして隙間ができるようなら、フレームが捻じれている証拠です。
2. 「ラフ・スムース回転」でシルエットを確認
ラケットのグリップを立てて、床の上でコマのようにクルクルと回してみてください。回っている最中のフレームの残像が、左右で非対称に見えたり、波打って見えたりする場合は要注意です。
3. 「打球音」の濁りを聞き分ける
ガットを手のひらで叩いてみてください。正常なヨネックスやバボラのラケットなら「コンッ」と乾いた音がしますが、内部に亀裂が入っていたり歪んでいたりすると、「ベシッ」「ビィーン」と鈍く濁った振動が残ります。
4. グリップエンドからの「目視」
ラケットを水平に持ち、グリップエンドからヘッドの先を覗き込みます。定規を当てるように見て、フレームが左右どちらかに反っていないか、捻じれていないかを確認します。
5. ガットの「マス目」の歪み
特にガットを張り替えた直後に有効です。ガットのマス目が綺麗な正方形(あるいは長方形)ではなく、平行四辺形のように歪んで見えたら、フレーム自体が引っ張られて変形している可能性があります。
歪んだラケットを使い続ける「本当の恐怖」
「少しくらい歪んでいても打てるし……」と放置するのは、上達を妨げるだけでなく、体にとっても危険です。
1. 肘や手首の故障(テニス肘)への近道
歪んだラケットは、インパクトの衝撃を正しく分散できません。本来ならフレームが吸収すべき不快な振動がすべて腕に伝わります。私自身、中古で安く手に入れたウィルソンの名機が実は歪んでおり、一ヶ月ほど使い続けただけで人生初のテニス肘を経験しました。
2. フォームが崩れ、メンタルが削られる
「いつも通り打っているのに、なぜか数センチアウトする」。この小さなズレを脳が補正しようとして、無意識にスイングを変えてしまいます。道具の不備を自分の技術不足だと思い込み、テニスが楽しくなくなってしまうのが一番の損失です。
歪みは直せるのか?
結論から言うと、カーボン製のラケットが一度物理的に歪んでしまった場合、元に戻すことはほぼ不可能です。
唯一の希望は、ガットを一度すべてカットしてみること。もしガットの張り方が悪くて一時的にフレームが引っ張られていただけなら、カットした瞬間に元の形状に戻ることがあります。それでも形が戻らない場合は、そのラケットは「寿命」です。
まとめ:違和感は「買い替え」のサイン
道具への疑念を抱きながらプレーするのは、最大のストレスです。もしチェック項目に当てはまるなら、思い切ってヘッドやダンロップなどの最新モデルを検討してみてください。
最新のラケットは素材の安定性が飛躍的に向上しており、昔のモデルよりも歪みにくくなっています。新しい相棒を手に入れて、雑念のないクリアな打球感を取り戻しましょう。
次は、あなたのプレースタイルに合わせたテニスガットの選び方について解説しましょうか?それとも、歪みにくい保管方法について詳しくお伝えしましょうか?


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