テニスショップでラケットを眺めているとき、「このラケット、なんだか横に広いな」と感じたことはありませんか?カタログに載っている「フェース面積100平方インチ」という数字が同じでも、実はモデルによって「横幅」はミリ単位で異なります。
このわずかな形状の差が、コート上では驚くほど大きな打球感の違いとなって現れるのです。今回は、数々のラケットを使い倒してきた筆者のリアルな体験を交えながら、ラケットの横幅がプレーに与える影響を深掘りします。
テニスラケットの「横幅」がプレーに与える3つの決定的な影響
「横幅なんて見た目の問題でしょ?」と思うかもしれませんが、実は物理的に無視できない3つのメリットがあります。
1. スイートスポットの拡大
横幅が広いラケットは、左右のオフセンターショットに対して圧倒的に寛容です。
私が以前、横幅の広いヨネックス VCORE 100を使用していた際、ダブルスのボレー戦で「あ、今のフレームショットかも」と思った瞬間でも、意外と面が耐えて相手コートに深く返ってくれたことが何度もありました。左右のブレに強い、この「安心感」は横幅があるモデルならではの特権です。
2. スピン性能(スピンウィンドウ)の向上
現代テニスにおいて、ラケットを縦に振り抜くスピンショットは欠かせません。横幅が広いと、スイングの軌道上にガットが「面」として存在し続ける時間が長くなります。
いわゆる「スピンウィンドウ」が広くなるため、多少打点が前後してもガットがしっかりとボールを噛んでくれます。
3. 面安定性(ねじれへの強さ)
横にボリュームがあるラケット(ワイドボディ)は、物理的にねじれに強い構造をしています。
相手の強烈なサーブをブロックリターンする際、横幅の狭いラケットだと手首に「グリン」という衝撃が来ることがありますが、幅広モデルは「壁」で跳ね返すような安定感を発揮します。
【徹底比較】「横幅広め」vs「横幅狭め」どっちが飛ぶ?
実際にコートで打ち比べた際の、生々しい感覚の違いをお伝えします。
横幅広め(例:バボラ ピュアドライブなど)
体験談:
「とにかく楽」の一言に尽きます。スイートスポットが円形に近く、どこで打っても一定のパワーで飛んでいく感覚。特に中級者の私にとって、守備範囲が20cmくらい広がったような錯覚を覚えるほど、追い込まれた時の「粘り」が効きます。
- 向いている人: ミスを減らして安定させたい人、厚い当たりでグリグリと回転をかけたい人。
横幅狭め(例:ウィルソン プロスタッフ 97など)
体験談:
こちらは一転して「ナイフ」のような感覚。空気抵抗が明らかに少なく、スイングスピードが一段階上がります。ただし、スポットは縦に細長く、左右に数ミリ外すと一気にパワーが落ちるシビアさがあります。
しかし、芯を食った時の「自分で操っている感」は、幅広モデルでは決して味わえない快感です。
- 向いている人: 振り抜きを重視するハードヒッター、針の穴を通すようなコントロールを求める人。
独自技術「アイソメトリック」の衝撃
横幅の話をする上で避けて通れないのが、ヨネックス EZONE 100などに採用されている「アイソメトリック」形状です。
一般的な卵型と並べるとよくわかりますが、フレームの四角い角の部分まで横幅が確保されています。
体験の声:
「ラケットの先端寄りで打ってしまった!」という場面でも、アイソメトリックなら失速せずに伸びのあるボールが飛んでいきます。他メーカーから乗り換えた当初は「顔がでかいな」という違和感がありましたが、慣れてしまうとこの「端っこでも飛ぶ」恩恵から抜け出せなくなります。
後悔しないための選び方:自分の「打点」と相談しよう
最後に、あなたが選ぶべき横幅を判断するポイントをまとめます。
- 打点がバラつきやすい人: 迷わず横幅広めのモデルを選びましょう。テニスが格段に「簡単」になります。
- スピン量を増やしたい人: 横幅がある方が、ガットのたわみ量が大きくなるため、自然と回転量が増えます。
- 振り抜きの良さが命の人: ヘッド スピード MPのような、シュッとしたスリムな形状が、あなたのスイングを加速させてくれます。
ラケットの横幅は、単なるデザインではなく、あなたのミスをカバーしてくれる「保険」のようなものです。次の買い替えでは、ぜひフェースの「横の広さ」を意識して、実際に手に取ってみてください。
次は、あなたのプレースタイルに合わせた具体的なガットのテンション調整について、一緒に考えてみませんか?


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