テニスのラケット選びで、重量やバランスと同じくらい重要なのに意外と見落とされがちなのが「RA値」という指標です。カタログスペックの隅にひっそりと書かれているこの数値。実は、あなたのショットの威力や、翌日の腕の疲れを左右する決定的な鍵を握っています。
今回は、数々のラケットを使い込んできた筆者のリアルな体験をもとに、RA値がプレーにどう影響するのかを深掘り解説します。
RA値とは?数値が表す「しなり」の正体
RA値とは、一言で言えば**「フレームの硬さ(剛性)」を数値化したものです。専用のマシンでフレームに負荷をかけ、どれだけ変形したかを測定します。一般的には60〜70**程度の範囲で設定されています。
- RA70以上(硬め): 変形が少なく、ボールのエネルギーをロスなく跳ね返す。
- RA65以下(柔らかめ): フレームが適度にしなり、ボールを一瞬包み込むような感覚がある。
私が初めてRA70を超えるバボラ ピュアドライブを手にした時、その弾きの良さに驚きました。軽く当てるだけでボールが伸びていく感覚は、数値の高さがそのままパワーに変換されている証拠です。
【体験レポート】RA値の違いがもたらす「快感」と「苦労」
数値だけでは分からない、実際のコートでの使用感を比較してみましょう。
RA値が高い(硬い)ラケットの体感
高RA値のラケット、例えばヨネックス VCORE 100のようなモデルを使うと、サーブのスピードが目に見えて上がります。フレームがしならない分、打球のエネルギーが外に逃げないのです。
- メリット: 相手の重い球に打ち負けない。ボレーのタッチがボヤけず、パンチが出る。
- デメリット: スイートスポットを外した時の衝撃がダイレクトに手首に来る。「カンッ」という高い打球音が好みを分ける。
RA値が低い(柔らかめ)ラケットの体感
一方で、RA値が62前後と低めに設定されたウィルソン ブレード 98などを振ると、全く別世界の打球感が待っています。
- メリット: ボールを「掴んでいる」時間が長く感じられ、コースのコントロールがしやすい。ガツンという衝撃が少なく、体への負担がマイルド。
- デメリット: 振り切らないとボールが飛ばない。追い込まれた時の「守りのスライス」が浅くなりやすい。
怪我のリスクとプレースタイルの相性
「肘が痛いから柔らかいラケットにしよう」と考える方は多いですが、ここには大きな落とし穴があります。
実は、低RA値の飛ばないラケットを選んだ結果、飛ばそうとして力んでしまい、逆に肘を痛めるケースを何度も見てきました。私自身の経験でも、体力が落ちている時にヘッド プレステージのようなしなるモデルを使うと、無理にスイングを大きくしてしまい、肩を痛めたことがあります。
- フラット系で叩くプレーヤー: 高RA値で爆発力を高めるのがおすすめ。
- スピン系でコントロール重視: 低RA値でボールを潰す感覚を楽しむのがおすすめ。
失敗しないための「RA値×ストリング」の組み合わせ術
RA値の特性を最大限に活かす(、あるいは中和する)には、ガット選びが不可欠です。
- 高RA値(硬)× ナイロンガット: テクニファイバー X-ONE バイフェイズのようなソフトなガットを合わせると、パワーを維持しつつ、硬いフレーム特有の衝撃を驚くほど吸収してくれます。ベテランプレーヤーに最も推奨したい組み合わせです。
- 低RA値(軟)× ポリガット: ルキシロン アルパワーを張ることで、しなりの中に「芯」が生まれます。プロのような強烈なスイングスピードがある人なら、究極のコントロール性能を手に入れられるでしょう。
まとめ:あなたの正解の見つけ方
RA値はあくまで「静的な数字」です。実際には素材のカーボンや構造によって体感は変わりますが、選ぶ際の**「物差し」**としては非常に優秀です。
まずは自分が使っているラケットの数値を調べてみてください。もし「最近ボールが飛ばないな」と感じるなら今の数値より+3、「打球感が硬すぎて腕が疲れる」なら-3を基準に次の1本を探してみるのが、理想の相棒に出会う近道です。
次は、あなたが気になる具体的なモデルのRA値を比較してみませんか?


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