バーベルを握り、床を蹴る瞬間のあの静寂。そのコンマ数秒の安定感を左右するのは、結局のところ足元です。私が長年、数々のリフティングシューズを履き潰した末に辿り着いたのが、このasics ウエイトリフティング 727でした。
今の時代、多くのメーカーが最新のプラスチック素材やダイヤル式のクロージャーを採用する中、このasics 727は驚くほど時代に逆行しています。しかし、その「変わらぬこと」こそが、多くのアスリートを虜にする理由なのです。
職人の息遣いを感じる「天然皮革」と「木製ヒール」
asics 727を初めて手に取ったとき、まず驚くのはその質感です。アッパーには希少な天然皮革(ステア)が使われており、最初は少し硬さを感じるかもしれません。しかし、一ヶ月も履き込めば、まるで自分の皮膚の一部になったかのように足に馴染みます。
特筆すべきは、今や絶滅危惧種とも言える「木製ヒール」です。最新のTPU(プラスチック)素材のような反発力とは異なり、木製ヒールは地面の情報をダイレクトに脳へ伝えてくれます。スクワットでボトムに降りた際、地面を「掴んでいる」という感覚は、ウエイトリフティングシューズの中でもこのasics 727でしか味わえないカチッとした安定感があります。
失敗しないためのサイズ選びのコツ
多くの方が悩むのがサイズ感でしょう。私の実体験から言えば、asics 727は一般的なスニーカーよりも「作りが大きめ」です。
普段、アシックスのランニングシューズで27.0cmを履いている私ですが、この727に関しては26.5cm、あるいは厚手のソックスを履かないのであれば26.0cmでも良いくらいでした。天然皮革は履いているうちに伸びて馴染むため、迷ったら「0.5cm小さめ」を選ぶのが、浮きを防ぎ、最高のパフォーマンスを引き出すポイントです。
実際に使ってわかったメリット・デメリット
asics 727を使い始めてから、特にスナッチやクリーンでのキャッチの安定性が劇的に向上しました。踵が全く沈まないため、力が逃げずにバーベルに伝わる感覚があります。
一方で、デメリットがないわけではありません。
- 価格が高い: 熟練の職人によるハンドメイドのため、決して安くはありません。
- メンテナンスが必要: 湿気に弱いため、練習後は陰干しをするなど、レザーケア用品での手入れが推奨されます。
しかし、これらの手間をかけてでも履き続けたいと思わせる魔力が、このシューズには宿っています。
結論:これは単なる靴ではなく「一生モノのギア」
asics 727は、流行を追う人のための靴ではありません。本気で重量に挑み、道具を育てる喜びを知っているリフターのための聖域です。
一度この安定感を知ってしまったら、もう他のシューズには戻れないかもしれません。あなたも、日本が誇る伝統のウエイトリフティングシューズで、自己ベストを更新してみませんか。


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