「あ、これ終わったわ……」と絶望するほど深い泥、あるいはフロントが取られてどうしようもない深い砂。オフロードを走っていれば、誰もが一度はそんな「地獄」を経験したことがあるはずです。そんなマディなコースやサンドセクションで、圧倒的な安心感をもたらしてくれた伝説のタイヤがダンロップ D731でした。
私はかつてレースで、膝まで埋まるようなドロドロのコースに直面したことがありますが、その時に装着していたのがD731です。他のライダーがスタックして唸りを上げている横を、まるで魔法のようにスルスルと進んでいけた感触は、今でも忘れられません。独特のパドル形状に近いブロックが、泥を確実に「掻く」んです。
しかし、名作ゆえに多くのライダーが頭を抱えているのが、その後の選択肢。D731は非常に優れたタイヤでしたが、ゴムの進化やパターン設計のテクノロジーは止まりません。現在、その魂を最も色濃く受け継ぎ、さらにブラッシュアップされたのがGEOMAX MX14です。
MX14を実際に履いてみると、D731の良さを残しつつ、課題だった「横方向への逃げ」が劇的に改善されていることに驚かされます。これまでのサンドタイヤは直進性こそ高いものの、斜め方向に滑り出すと一気に挙動が乱れる怖さがありましたが、最新のMX14はコーナーの出口までしっかりと路面を掴み続けてくれます。
もしあなたが「昔のD731のような、泥を制するあの感覚が欲しい」と探しているのであれば、迷わずGEOMAX MX14を試すべきです。特に空気圧を極限まで落とした際のたわみ方と、そこから生まれる強烈なトラクションは、ダンロップのオフロード技術の集大成と言っても過言ではありません。
タイヤ一本で、マディ走行は苦行から「遊び」に変わります。次のレースや練習走行で、ライバルが泥に足元をすくわれる中、あなただけが軽快に立ち上がっていく快感をぜひ味わってください。


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