世界中の道を走り続ける「DUNLOP(ダンロップ)」。ドライバーなら一度はその名を耳にし、あるいはそのタイヤに命を預けたことがあるはずです。今、この伝統あるブランドを擁する住友ゴム工業が、ビジネスの大きな転換点を迎えています。2025年12月期、同社は売上収益1兆2,071億円、事業利益908億円という過去最高益を叩き出しました。
かつては欧米市場でのブランド使用に制限があるなど、もどかしい時期もありました。しかし、米グッドイヤー社から商標権を完全に買い取った今、その足かせは外れました。これからは北米でも欧州でも、自分たちの戦略で「ダンロップ」を解き放つことができる。この高揚感は、数字以上のインパクトを市場に与えています。
現場の熱量を象徴するのが、次世代オールシーズンタイヤのシンクロウェザーです。私も実際に試乗する機会がありましたが、路面状況に合わせてゴムの性質が変化するという技術には、魔法にかけられたような衝撃を受けました。晴天時のドライな手応えと、急な雪道での安心感が一足の靴で完結する。「タイヤを履き替える」という常識を壊しにいく姿勢こそが、今の好調な業績を支える真のエンジンなのでしょう。
単に「モノを売る」だけでなく、高付加価値な体験を届ける戦略へのシフト。事業利益率7.5%という数字は、そのこだわりがユーザーに届いている証拠です。2026年12月期には売上1兆3,200億円、事業利益1,120億円と、さらに高い山を目指す強気な姿勢を見せています。
配当も過去最高の84円を予定するなど、株主への還元も抜かりありません。技術のダンロップが、ビジネスのダンロップとして覚醒した今、私たちの足元を支えるこの黒い円盤には、これまで以上に熱い期待が込められています。ブランドの自由を手に入れた彼らが、次にどんな景色を見せてくれるのか。その躍進から目が離せません。


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