モトクロスを始めたばかりの頃、私が最も衝撃を受けたのは「タイヤ一本でこれほどまでにバイクの挙動が変わるのか」という事実でした。特に、世界のトップシーンで磨き抜かれたダンロップの「GEOMAX(ジオマックス)」シリーズは、一度そのグリップの虜になると、他の選択肢が考えられなくなるほどの信頼感があります。
今回は、泥濘地からカチカチのハードパックまで、全地形を網羅するダンロップのモトクロスタイヤについて、私の実走体験を交えながらその選び方を徹底解説します。
泥を切り裂き、前へ進む。サンド・マッド特化の「MX14」
雨上がりのマディコンディションや、さらさらのサンドコース。誰もがアクセルを開けるのを躊躇するような場面で、唯一無二の武器になるのがMX14です。
実際に履いてみると分かりますが、リアの「フィン型ブロック」がスコップのように土を掻き出し、泥を後ろへ投げ飛ばしながらグイグイと車体を前に押し出してくれます。かつてのMX12に比べ、スライド時のコントロール性が格段に向上しているため、コーナー出口で不意にリアが流れても、パニックにならずに立て直せる余裕が生まれました。
迷ったらこれ。究極のオールラウンダー「MX34」
私がメインタイヤとして最も愛用しているのが、MX34です。ソフト路面からミディアム路面までを広くカバーするこのタイヤは、まさに「迷った時の正解」と言えるでしょう。
前作のMX33も名作でしたが、MX34になってからは特にフロントタイヤの接地感が別物です。コーナーに進入する際、フロントが逃げる不安がなくなり、自分の狙ったラインをミリ単位でトレースできる感覚があります。初心者の方であれば、まずはこのMX34を基準にして、自分の走るコースの硬さに合わせて前後を調整していくのが一番の近道です。
硬い路面で粘り勝つ。耐久性も抜群の「MX53」
夏場の乾燥して固まった路面や、石が混じったハードパックなコースでは、MX53の出番です。このタイヤの凄さは、ブロックが「しなる」ことで路面に吸い付くようなグリップを発揮する点にあります。
ハード路面用のタイヤは一般的に滑り出しが急で怖いイメージがありますが、MX53は限界付近での粘りが非常に強いです。また、ブロック飛びにも強く、練習走行で酷使してもエッジが残ってくれるため、お財布にも優しいのが嬉しいポイントですね。
性能を120%引き出すための「空気圧」の知恵
どんなに良いタイヤを履いても、空気圧が適正でなければ宝の持ち腐れです。私は普段、標準を $80$ kPaとし、路面が柔らかければ $70$ kPaまで落とし、逆にガレ場であればリム打ちを防ぐために $90$ kPa以上まで上げるようにしています。
わずか $10$ kPaの差で、トラクションのかかり方が劇的に変わります。ぜひ、エアゲージを片手に、自分にとっての黄金比を見つけてみてください。
ダンロップのタイヤは、ただのゴムの塊ではありません。ライダーの意思を地面に伝え、限界を超えさせてくれる最高のパートナーです。次の週末、新しいGEOMAXを履いて、自己ベストを更新しに行きませんか。


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