「カチッ」という乾いた音か、「ポーン」という楽器のような響きか。テニスラケットのガット部分に装着する小さなパーツ、振動止め。たった数百円のアイテムですが、これ一つであなたのテニスが劇的に変わるかもしれません。
プロの世界でも、ナダルや錦織圭選手のようにしっかり装着する派がいれば、ロジャー・フェデラーのように一切つけない派もいます。この記事では、15年以上コートに立ち続けてきた私の実体験をもとに、振動止めのリアルな効果と選び方を深掘りします。
1. 【実録】振動止めを「つける」と「外す」で何が違うのか?
多くの初心者は、ラケット購入時に店員さんに勧められるがまま装着しているはずです。しかし、一度外して打ってみると、その差に驚くでしょう。
つけた場合:不快な残響をカットし、集中力を高める
振動止めを装着すると、インパクト時の「びーん」という不快な長い振動がピタッと止まります。打球感は「短く、重く」なり、手のひらに伝わる情報が整理される感覚です。
特にkimony クエークバスターのような高性能なものを使うと、芯を外した時の嫌なしびれが激減します。個人的には、試合後半で集中力が切れてきた時、ミスショットの不快な感触が伝わってこないのは大きな精神的メリットだと感じます。
外した場合:ガットの情報を指先で感知する
一方で、振動止めを外すと、まるでラケットが弦楽器になったかのように澄んだ音が鳴ります。ボールがガットに乗っている時間や、どの位置に当たったかという「情報の鮮度」は、外している時の方が圧倒的に高いです。
タッチボレーやドロップショットなど、繊細な感覚を重視する上級者が「なし」を好むのは、この指先に伝わるフィードバックを大切にしているからです。
2. タイプ別・振動止めの選び方と打感の比較
一口に振動止めと言っても、その形状で特性は大きく異なります。
① ワンポイント型(ボタン型)
最も一般的なタイプです。特定の嫌な振動だけをピンポイントで消してくれます。
ヨネックス バイブレーションストッパー5などは、適度に「打っている感覚」を残しつつ、雑音だけを取り除いてくれるため、まずはここから試すのが正解です。
② バー型(ワーム型)
複数の縦ガットに引っ掛けるタイプで、振動吸収力は最強クラスです。
バボラ カスタムダンプのように、しっかり固定されるタイプは「とにかく無音に近いマイルドな打感が好き」という方に最適。打球時の衝撃を極限まで抑えたい人におすすめです。
③ 紐・ゴムバンド型
アンドレ・アガシが輪ゴムを愛用していたのは有名な話です。
専用のTOURNA VIBRA MESHなどもありますが、普通の太めの輪ゴムを縛り付けるだけでも代用可能です。最大のメリットは「絶対にコートに飛んでいかない」こと。自分の好きな強さで結べるため、カスタマイズ性は随一です。
3. 意外と知らない「ルールの罠」
振動止めを付ける位置には、テニス界の厳格なルールが存在します。
**「クロスしているガットの、一番外側(一番下の横糸より下、または一番上の横糸より上)に装着しなければならない」**というものです。
もしガットが交差している内側に付けて試合に出ると、厳密にはルール違反になります。また、プレー中に振動止めが外れて相手コートに飛んでいってしまった場合、それが相手のプレーを妨害したとみなされれば「失点」になるリスクもあります。
試合に出る方は、ヘッド ロゴダンプナーのような、ガットにしっかり食い込んで外れにくい形状を選ぶことが重要です。
4. 結局、あなたはどっち派?診断チャート
自分に振動止めが必要かどうか迷ったら、以下の基準を参考にしてください。
- つけるべき人:
- インパクト時の金属音や残響がストレスになる
- テニス肘への不安があり、心理的に少しでも負担を減らしたい
- お気に入りのキャラクターやブランドロゴでテンションを上げたい
- 外すべき人:
- ボールがガットに食い込む感触を100%味わいたい
- ラケットの重量バランスを0.1g単位で変えたくない
- フェデラーのようなクラシックで軽快な打球音に憧れる
まとめ:正解は自分の「耳」と「手のひら」にある
振動止めは、ラケットの性能を上げる魔法の道具ではありません。あくまで「フィーリングを自分好みに味付けするスパイス」です。
もし今、自分のテニスに違和感があるなら、あえて逆の選択をしてみてください。ついている人は外し、外している人はウィルソン ショックトラップのような吸収力の高いものをつけてみる。
その一歩が、あなたのショットの質を変えるきっかけになるかもしれません。
次は、あなたのラケットにぴったりの「外れにくくておしゃれな振動止め」を一緒に探してみませんか?


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