テニスコートを縦横無尽に駆け回り、急ストップから強烈なショットを放つ。その激しい動きを足元で支えているのがテニスシューズですが、あなたは「素材」を意識して選んだことがありますか?
私もかつては「デザインが格好いいから」「軽いから」という理由だけで選んでいました。しかし、ハードコートで連日練習していると、一ヶ月も経たないうちに親指の付け根付近に穴が開いたり、足裏に鈍い痛みを感じたりするようになったのです。そこで素材の重要性に気づき、構造を深く知ることで、プレーの質もシューズの寿命も劇的に変わりました。
今回は、テニスシューズのパフォーマンスを左右する「素材」に焦点を当て、後悔しない選び方を解説します。
パフォーマンスに直結するアッパー(甲材)の素材
シューズの顔とも言えるアッパー素材は、足のホールド感と蒸れにくさを左右します。
まず、安定性を重視するなら「人工皮革(シンセティックレザー)」が筆頭候補です。天然皮革に比べて雨や汗に強く、型崩れしにくいのが特徴です。激しい切り返しでも足が靴の中でズレにくいため、競技志向のプレーヤーには欠かせません。例えば、アシックス ゲルレゾリューションのような安定感重視のモデルには、剛性の高い素材が巧みに配置されています。
一方で、最近のトレンドは「合成繊維(メッシュ)」と「樹脂(TPUなど)」の組み合わせです。昔のメッシュシューズは「すぐ破れる」のが弱点でしたが、現在は表面に耐久性の高い樹脂を網目状にコーティングすることで、通気性と強靭さを両立させています。軽いフットワークを武器にするなら、このハイブリッド素材が最適です。
疲労度を変えるミッドソール(中底)の秘密
試合の後半、足が重く感じる原因の一つはミッドソールのヘタリにあります。多くのシューズには「EVA(合成樹脂)」が使われていますが、これに各メーカーが独自の魔法をかけています。
私が実際に履き比べて感動したのは、パワークッションを搭載したヨネックスのシューズです。生卵を落としても割れずに跳ね返るという驚異の衝撃吸収材は、コンクリートに近い硬さのハードコートでプレーする際に、膝や腰への負担を明らかに軽減してくれました。
もしあなたが「翌日に疲れを残したくない」のであれば、発泡ポリウレタンなど、クッション性が持続しやすい素材が厚めに使われているモデルを選ぶべきでしょう。
コート別で使い分けるアウトソール(外底)
最後に、地面と接するアウトソールです。基本的には「ラバー(ゴム)」が主成分ですが、コートの種類によってその硬度と配合が変わります。
オムニ・クレーコートでは、砂をしっかり掴むために少し柔らかめのラバーが使われます。逆にハードコート用は、摩擦熱に耐えうる硬くて丈夫なラバーが採用されています。私は一度、オムニ用のシューズでハードコートを走ってしまい、一回の練習で溝がツルツルになってしまった苦い経験があります。素材の適材適所を守ることは、お財布を守ることにも繋がります。
まとめ:自分の足とスタイルに「素材」を合わせる
テニスシューズ選びは、スペック表の数字だけでは測れない奥深さがあります。
- 耐久性とサポート力なら: 人工皮革をベースにしたモデル
- 軽快な動きと快適さなら: 樹脂補強されたメッシュモデル
- 足への優しさなら: 衝撃吸収素材にこだわったミッドソール
このように、素材の特性を知れば、ショップの棚に並ぶ一足一足が全く違って見えてくるはずです。あなたのプレースタイルを支える「最高の相棒」を、ぜひ素材という視点から見つけてみてください。


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