「テニスを始めたけれど、どのラケットが自分に合うのかさっぱり分からない」「スクールのコーチに勧められたモデルを買ったが、どうも手首が痛い」——そんな悩みを持つプレーヤーにとって、テニスラケット専門店はまさに「駆け込み寺」のような場所です。
ネット通販でテニスラケットをポチる手軽さも魅力ですが、専門店には数値やカタログスペックだけでは語れない「最高の1本」との出会いがあります。今回は、実際に私が専門店を訪れ、自分でも驚くような「相棒」に出会うまでの体験をベースに、専門店の凄みを紐解きます。
ネットでは絶対に味わえない、プロによる「感覚の言語化」
店内に足を踏み入れると、壁一面に並ぶ最新モデルの数々。圧倒されている私に、店員さんは「今の悩みはなんですか?」と優しく声をかけてくれました。「なんとなく飛びすぎてしまう」「バックハンドが重く感じる」といった私の抽象的なボヤきを、プロは瞬時に解析していきます。
「それは重量の問題ではなく、バランスポイント(重心)がトップ寄りだからかもしれませんね」
専門店の店員さんは、単なる販売員ではなく、いわば「道具の通訳者」です。自分の感覚を言葉にし、それをヨネックス イーゾーンやバボラ ピュアドライブといった具体的なモデルの特性と結びつけてくれるプロセスは、ネットのレビューを読み漁るよりも何倍も腑に落ちる体験でした。
驚愕の事実:ラケットには「個体差」がある
専門店で最も驚いたのは、同じ製品名でも一本一本、重さやバランスが微妙に異なるという事実です。
「カタログで300gと書いてあっても、実際には2g〜3gの誤差があります。うちではスイングウェイト計測器を使って、あなたのスイングに最も適した個体を選びますよ」
店員さんがスイングウェイト計測器にラケットをセットし、数値を弾き出す様子は、まるで精密機器の調整。自分のスイングスピードに合わせ、複数ある在庫の中から「一番振り抜きやすい個体」を選び出してくれる。この「徹底した個体選別」こそ、専門店を利用する最大のメリットだと確信しました。
「ガット張り」という最後の魔法
ラケットが決まれば終わりではありません。次に待っているのが、ガット(ストリング)選びとテンションの設定です。
「もう少しスピンをかけたいなら、多角形構造のルキシロン 4Gを試してみませんか?」
「肘への負担を考えるなら、ナイロンのテクニファイバー X-ONE BIPHASEがいいでしょう」
店員さんと対話しながら、自分の筋力やプレースタイルに合わせた「張り」を決めていく。完成したラケットを手に取ったとき、それは単なる工業製品ではなく、自分専用の「武器」に昇華されていました。熟練のストリンガーが一本一本丁寧に張り上げたラケットは、打球感の雑味がなく、コートでボールを打つのが待ち遠しくなります。
専門店デビューを迷っている方へ
「初心者だから専門店は敷居が高い」と感じる必要は全くありません。むしろ、道具に頼れる初心者こそ、プロの知見を借りるべきです。変な癖がつく前に、自分の体格やスイングに合ったラケットを使うことは、上達への最短ルートであり、怪我を防ぐ唯一の方法でもあります。
もし、あなたが今使っているテニスバッグの中に、「本当にこれでいいのかな?」と疑問を持ちながらラケットをしまっているのなら、ぜひ一度、お近くの専門店を覗いてみてください。そこには、あなたのテニス人生を劇的に変える「納得の1本」が必ず待っています。


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