「テニスを車いすでやるだけでしょ?」もしあなたがそう思っているなら、その認識は最初の1ゲームで崩れ去るはずです。車いすテニス男子の試合を初めて間近で見たとき、私の耳に飛び込んできたのは、静かなコートに響き渡る「キュッ、キュッ!」という激しいタイヤの摩擦音と、選手たちが放つ凄まじい打球音でした。
今回は、パラスポーツの中でも屈指の人気を誇る車いすテニス男子の魅力を、実体験に基づいたリアルな視点からお届けします。
2バウンドが変える戦略の深み
車いすテニスの最大の特徴は「2バウンドまで認められる」という点です。しかし、実際にプレーを体験してみると、このルールの意味が全く違うことに気づかされます。
初心者の私は「2回も跳ねていいなら楽勝だ」と高を括っていました。しかし、競技用のテニスラケットを手に車いすに座ると、視界の低さに驚きます。地面に近い位置から飛んでくるボールは想像以上に速く、2バウンド目を待っている余裕などありません。
トップ選手たちは、あえて2バウンド目を使って角度をつけたり、相手をコートの外へ追い出したりと、このルールを攻撃の起点にしています。ただ拾うためのルールではなく、戦略を無限に広げるための「武器」なのです。
チェアワークという名の格闘技
車いすテニスにおいて、ラケットさばき以上に重要なのが「チェアワーク(車いす操作)」です。選手たちは片手でラケットを持ちながら、もう片方の手で車輪を正確に、そして爆発的なパワーで漕ぎます。
実際に競技用の車いすに乗ってみると、その操作性の高さに驚かされます。ハの字型に開いたキャンバー角のおかげで、その場でクルリと旋回できるのです。しかし、思い通りの場所にピタッと止まり、そこから力強いショットを打つには、凄まじい体幹の強さが必要です。
試合後、選手たちの腕を見ると、血管が浮き出し、鍛え上げられた筋肉が躍動しています。これはまさに、テニスと車いす操作が融合した「究極の格闘技」だと確信しました。
新時代の若き怪物・小田凱人とレジェンドの系譜
現在の車いすテニス男子を語る上で、小田凱人(おだ ときと)選手の存在は欠かせません。レジェンド・国枝慎吾氏が引退した後、彗星のごとく現れた彼は、これまでの車いすテニスの常識を次々と塗り替えています。
彼のプレーを4Kテレビの大画面で見ると、その攻撃的な姿勢に圧倒されます。守るのではなく、常に攻める。車いすであることを感じさせないダイナミックなスイングは、まさに新時代のスターにふさわしい輝きを放っています。
また、彼のようなスター選手を支えるギアの進化も見逃せません。軽量化されたフレームや、手のひらを保護しながらグリップ力を高めるテニスグローブなど、テクノロジーの進化が競技のレベルを底上げしています。
あなたもコートへ。車いすテニスの始め方
もし少しでも興味を持ったなら、ぜひ一度パラスポーツの体験会に足を運んでみてください。「障がいがないとできない」と思われがちですが、実は多くのサークルで健常者と車いすユーザーが一緒にプレーを楽しんでいます。
最初はスポーツウェア一着あれば十分です。専用の車いすは多くの施設でレンタル可能です。
実際にコートに立ち、車輪を漕ぎ、ボールを打ち返した瞬間の高揚感。それはテレビで見ているだけでは決して味わえない、人生観が変わるほどの体験になるはずです。
車いすテニス男子は、いま最も熱いスポーツの一つです。小田選手たちの活躍を追いかけながら、あなた自身もそのスピードの世界に足を踏み入れてみませんか?
Would you like me to find specific wheelchair tennis trial events or clubs in a particular region of Japan to add to this article?


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