「カタログの重量は軽いのに、振ってみるとなぜかズッシリ重い……」
そんな経験はありませんか?その正体は「トップヘビー」という重心設定にあります。テニスラケット選びにおいて、重量(ウェイト)と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのがこの「バランスポイント」です。
私自身、以前は操作性重視で手元が重いトップライトのラケットを使っていましたが、相手の球威に押し込まれることに悩み、トップヘビーに切り替えた経験があります。その時の驚きや、実際に使ってわかった「光と影」をリアルにお伝えします。
トップヘビーとは?数値以上に「重く」感じる理由
一般的に、ラケットの重心(バランスポイント)が330mm以上のものを「トップヘビー」と呼びます。
面白いのは、たとえ280gという軽量ラケットであっても、重心が先端に寄っているだけで、スイングした瞬間に300g以上のラケットよりも重く感じることがある点です。これは物理の遠心力が働くためで、専門用語では「スイングウェイト」が高い状態を指します。持った時の軽さに騙されて選ぶと、コートに立った時に「あれ?」となるのがトップヘビーの洗礼です。
【体験談】トップヘビーに変えて分かった3つの劇的変化
私が実際にトップヘビーのモデルを使用してみて、肌で感じた変化を3つ挙げます。
1. 驚くほど「球威」と「深さ」が出る
まず驚いたのが、ストロークの弾道です。特にスイングスピードを上げなくても、ラケットヘッドの重みがボールを勝手に押し潰してくれる感覚があります。
「置きにいった」ような中途半端なスイングでも、ラケットの自重でボールが相手のベースライン際まで伸びていく。これは、筋力に自信がないプレイヤーにとっては魔法のような恩恵です。
2. 相手の強打に「面」が負けない
以前は速いサーブをリターンする際、面がブレてミスショットになることが多々ありました。しかし、トップヘビーに変えてからは、当てるだけでラケットが「壁」になってくれます。ブロックリターンの安定感は、一度味わうと元には戻れません。
3. サーブで「しなり」が使えるようになる
サーブの際、ラケットを背中に落とした後の振り出しで、ヘッドの重みが加速を助けてくれます。勝手にヘッドが回るような感覚で、プロのような鋭い振り下ろしが自然と再現しやすくなりました。
良いことばかりじゃない?痛感した「3つのデメリット」
一方で、トップヘビー特有の「扱いにくさ」に苦しんだ時期もありました。
- ネットプレーでの操作性の低下:ボレー戦など、咄嗟の反応が求められる場面では、どうしてもヘッドが遅れます。「あ、届く!」と思ったボールに対して、ラケットをセットするのが一瞬遅れる。ダブルスを主戦場にする場合は、この操作性のトレードオフを覚悟する必要があります。
- 振り遅れが「即ミス」に直結:一度テイクバックが遅れると、重さがある分、無理やり腕で修正することが難しくなります。振り遅れたまま打つと、そのままフレームショットやアウトになる確率が上がりました。
- 手首への負担:腕の力だけで振ろうとすると、ヘッドの重さが手首にダイレクトにきます。私自身、一時期テニス肘に近い痛みを感じましたが、これは「体幹で振る」という正しいフォームを意識することで解消されました。
あなたはどっち?トップヘビーが向いている人の特徴
実体験を踏まえると、以下のような方にトップヘビーは最高の武器になります。
- ベースラインからじっくり打ち合いたいストローカー
- 体力が少ない後半でも、ラケットの力でボールを飛ばしたい方
- ゆったりとした大きなスイングでテニスをする方
逆に、筋力に自信があり、自分の力でビュンビュン振り回したい方は、操作性の良いトップライト系を選んだほうがフラストレーションが溜まらないでしょう。
失敗しない選び方と調整のコツ
いきなり極端なトップヘビーを買うのが不安なら、まずはテニス用 鉛テープを使って、今お使いのラケットをカスタマイズしてみるのがおすすめです。
フレームの12時方向に2gほど貼るだけで、驚くほどヘッドが走るようになります。これで「お、打ちやすいな」と感じるなら、本格的なトップヘビーモデルへの移行は大正解です。
具体的な人気モデルとしては、圧倒的なパワーを誇るWilson ULTRA TOURや、軽量ながら打ち負けないDUNLOP LX 1000などが、トップヘビーの特性を最大限に活かせる名機として知られています。
まとめ:ラケットに「仕事」をさせよう
トップヘビーのラケットは、いわば「自動追尾システム」のようなものです。正しいリズムで振れば、あなたの筋力以上のパフォーマンスをラケットが勝手に引き出してくれます。
「最近、ボールが飛ばなくなってきた」「相手の球に押し込まれる」と感じているなら、ぜひ一度、ヘッドの重みを味方につける快感を体験してみてください。テニスの概念が、ガラリと変わるかもしれません。
次は、あなたのプレイスタイルに合わせた「具体的な重量とバランスの黄金比」について詳しく解説することもできますが、いかがでしょうか?


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