「テニスを始めたなら、まずはコンチネンタルグリップで握りましょう」
スクールのコーチにそう言われて、素直に「はい」と答えたものの、心の中では「いや、これ無理じゃない?」と絶望したのを今でも覚えています。ラケットを包丁のように持つあの独特の感覚。ボールを打とうとすると面が明後日の方向を向き、まともに飛ばない。
しかし、断言します。このグリップをマスターするかどうかで、あなたのテニスライフが「ただの遊び」で終わるか「競技」として楽しめるかが決まります。今回は、私が独学とスクールで試行錯誤し、ようやく手に入れたコンチネンタルグリップの極意を、生の体験談とともにお伝えします。
そもそも「なぜ」あんなに握りにくいのか?
初心者の多くは、手のひらでベタっと握る「ウエスタングリップ」を好みます。その方がボールを真っ直ぐ飛ばしやすいからです。一方、コンチネンタルグリップは人差し指の付け根をラケットの斜めの面(右上)に合わせるため、手のひらとグリップの間に隙間ができるような、非常に不安定な感覚に陥ります。
私が一番苦労したのは、サーブの時です。厚いグリップで打っていた頃は「羽子板サーブ」になり、スピードも回転も頭打ちでした。コーチに「グリップを薄くして」と言われるたびに、空振りしたり、フレームに当たったり。あの「もう一生サーブが入らないんじゃないか」という不安感は、今思い出してもゾッとします。
コンチネンタルグリップがもたらす「3つの魔法」
それでも私がこの握りを諦めなかったのは、上級者たちが口を揃えて「これがないと始まらない」と言っていたからです。実際、習得した先にはこんな変化がありました。
1. サーブにエグい回転がかかる
薄く握ることで、手首の「プロネーション(回内運動)」が使えるようになります。これにより、スライスサーブで相手をコートの外へ追い出したり、スピンサーブで高く跳ね上げたりすることが可能になります。
2. ボレーの「守備範囲」が劇的に広がる
ボレーは一瞬の判断が命です。コンチネンタルで握っていれば、フォアに来てもバックに来ても、グリップチェンジなしで対応できます。私がダブルスの試合でボレー戦に勝てるようになったのは、間違いなくこのグリップのおかげです。
3. 低い球へのスライスが武器になる
相手に追い込まれて低い位置で打たされる時、コンチネンタルならスッと面を下に差し込んで、滞空時間の長いスライスで時間を稼げます。
挫折しないためのステップアップ練習法
私が「あ、これだ!」と掴んだ瞬間の練習メニューを共有します。
- エッジでボールを叩く: ラケットの面ではなく、フレーム(角)でボールを地面に向かって打ってみてください。これこそがコンチネンタルグリップの「縦の操作感」です。
- ショートボレーで「当てるだけ」: フルスイングは厳禁です。ネットの近くで、ただ当てるだけの練習を10分続けてください。手の感覚が徐々にラケットと一体化してきます。
- 動画で自分のフォームを客観視する: 自分の感覚と実際の形はズレているものです。スマホ三脚を使って練習を録画し、プロの握りと比較してみてください。驚くほど自分の手が動いていることに気づくはずです。
道具に頼るのも一つの正解
どうしても握りが安定しない時期、私はグリップの角を感じやすくするために、オーバーグリップを薄いものに変えました。ヨネックス ウェットスーパーグリップのような定番品は、汗をかいても滑りにくく、指のひっかかりを助けてくれます。また、自宅でのイメージトレーニングにはテニス練習機を使って、正しい打点とグリップの関係を体に叩き込みました。
最後に:違和感は「進化の証」
コンチネンタルグリップに慣れるまで、私は約3ヶ月かかりました。その間、何度も元の厚い握りに戻りたくなりました。しかし、その違和感こそが、あなたのテニスが新しいステージに向かっている証拠です。
今日からラケットを手に取るとき、まずは「包丁」を握るように、スッと手を添えてみてください。その一歩が、1年後のあなたの勝率を大きく変えるはずです。


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