「なんだか最近、スピンがかかりにくいし、打球感が重い気がする……」
そんな違和感を覚えてラケットの面をじっくり見てみると、ガットの交差している部分に深い溝ができていませんか?それが**「ノッチ」**です。テニスプレーヤーにとって、ノッチは避けては通れない宿命のようなもの。
今回は、多くのプレーヤーが陥りがちな「切れるまで使う」のリスクや、ノッチがプレーに与えるリアルな影響、そして寿命を延ばすための知恵を、私自身の体験を交えて詳しくお伝えします。
そもそも「ノッチ」の正体とは?
ノッチとは、縦糸(メイン)と横糸(クロス)が激しく擦れ合うことで削れてしまった**「摩擦の溝」**のことです。
テニスのショット、特に現代のスピン主体のテニスでは、インパクトの瞬間にガットが大きくズレて戻る**「スナップバック」**という動きが発生します。この動きがボールに強烈な回転を与えてくれるのですが、代償として糸同士がヤスリのように削り合い、ノッチが形成されます。
特にポリエステルガットを使用しているハードヒッターや、グリグリに回転をかけるプレーヤーの場合、わずか数時間の練習でくっきりと溝ができることも珍しくありません。
【体験談】ノッチが深くなると「何」が変わるのか?
私が以前、ノッチが半分以上入った状態で無理やり練習を続けていた時の話です。
まず感じたのは、**「圧倒的なスピン量の低下」**でした。
ノッチが深くなると、縦糸が横糸の溝にガマの穂のようにハマり込んでしまい、動かなくなります。これがいわゆる「ロック現象」です。スナップバックが起きないため、自分では一生懸命擦り上げているつもりでも、ボールは棒球になってコートの外へアウトしてしまいます。
次に襲ってきたのが、**「打球感の不快な硬さ」**です。
ガットが動かないことで衝撃が直接手首や肘に伝わり、まるで板で打っているような感覚になりました。こうなると、コントロール性能はガタ落ちです。
プレーヤーの本音:
「まだ切れていないから大丈夫」は大きな間違いです。ノッチが深いガットは、もはや本来の性能を発揮できない「死んだ状態」と言っても過言ではありません。
張り替えを判断する「3つの基準」
では、どのタイミングでショップへ駆け込むべきでしょうか?私の経験上、以下の3つのうち1つでも当てはまれば張り替え時です。
- 目視によるチェックガットの太さの半分(50%)以上が削れていたらイエローカードです。2/3まで行っていたら、次の強打で確実に切れます。試合中に切れてリズムを崩す前に交換しましょう。
- 打球音と打球感の変化新品の時の「パコーン」という乾いた音から、「ボコッ」という湿った音に変わったら要注意。また、ガットを指で動かしてみて、スムーズに戻らず「カチッ」と溝にハマる感触があれば寿命です。
- 使用期間のルールノッチが目立たなくても、素材自体は劣化します。ナイロンガットなら3ヶ月、ポリガットなら1ヶ月〜1.5ヶ月が性能維持の限界だと感じます。
ノッチを予防し、ガットを長持ちさせる裏技
お気に入りのガットを少しでも長く、最高の状態で使いたい。そんな方におすすめの対策が2つあります。
1. ストリンググライド等の潤滑剤を使う
ストリンググライドのような専用の潤滑剤をガットの交差点に塗るだけで、摩擦が劇的に減ります。糸の滑りが良くなるため、ノッチができるスピードを遅らせるだけでなく、スナップバックが強調されてスピン量もアップするという一石二鳥のアイテムです。
2. 丸型で滑りの良いガットを選ぶ
多角形ガット(スピンガット)は角がある分、食いつきは良いですがノッチも早くできがちです。耐久性を重視するなら、バボラ RPMブラストのようなコーティングが優秀な丸型ポリを選ぶと、摩耗を抑えつつ高いパフォーマンスを維持しやすくなります。
まとめ:ノッチは「上達の証」であり「警告灯」
ガットにノッチができるのは、あなたがしっかりとボールを捉え、スピンをかけられている証拠。決して悪いことではありません。
しかし、その警告を無視して使い続けると、あなたのテニスに「変な癖」がついてしまうリスクがあります。道具をベストな状態に保つことは、ショットを安定させるための第一歩です。
今一度、あなたのラケットを光にかざしてチェックしてみてください。深い溝が刻まれていたら、それは新しい打球感に出会う絶好のタイミングかもしれません。
次にご提案できることとして、あなたのプレースタイル(パワー派・スピン派など)に合わせて、ノッチができにくい最新の耐久性重視ガットをいくつかピックアップしてご紹介しましょうか?


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